息を止めて頭から下を向くと、ある深さから体が勝手に沈み始めます。5mmのウェットスーツにウェイト4kgという条件で計算すると、その境目は7.5mあたりです。そこから下は、脚を止めていても落ちていきます。フリーフォールと呼ばれる状態です。一度これを味わうと、また行きたくなると思います。

そこまで行くのに、何を、どの順番でやればいいのか。「フリーダイビング 始め方」で調べると、団体名と器材の型番と息こらえのトレーニング法が一度に出てきて、どれから手をつければいいのか分からなくなります。私は、ここで止まってしまうのがいちばんもったいないと思っています。最初の30日で要るのは4つだけです。目指す場所を1行で決める、講習を1つ選ぶ、マスクとスノーケルだけ買う、練習会に1回行く、これで足ります。

肺活量も体力も、今のところ関係ありません。器材も呼吸法も後回しで大丈夫です。

まず今日、この3つを済ませてしまってください。

  1. 講習を1つ選んで、申し込んでください。 独学で始めない。ここが最大の分岐点です
  2. 買うのはマスクとスノーケルだけ。 約1万円。フィンとウェットスーツはレンタルで足ります
  3. 交代で潜って、水面から見てください。 海で守ることは3つだけにまとめました

最初の30日でやること

① 自分がどこを目指すか、1行で決める(所要:10分)

「海で魚と泳ぎたい」のか。「深く潜りたい」のか。「息を長く止めたい」のか。これで選ぶ団体もコースも変わります。決められなければ「海で潜れるようになりたい」でいいです。それがいちばん多い動機です。言葉の違いは、いま気にしなくて大丈夫です。最初の1か月でやることは、どれでも同じです。

② 講習を1つ選んで、申し込む(所要:1時間)

独学で始めないでください。 ここが最大の分岐点で、そして最も飛ばされやすいところです。迷ったらPADIかSSIです。国内の開催店舗数が多いです。日程が合わせやすいです。冬に始めるなら、海洋実習のないプール完結型から入ります。団体名ではなく、通える日程で選んで構いません。

③ マスクとスノーケルだけ買う(所要:1時間・約1万円)

他は全部レンタルでいいです。フィンとウェットスーツは、技術が固まる前に買うと無駄になります。マスクだけは自前を勧めます。顔に合わないマスクは水が入り続けます。それだけで練習になりません。店で顔に当てて、ストラップを付けずに軽く吸って落ちなければ合っています。

④ 練習会に1回行ってみる(所要:半日・3,300〜9,900円)

講習の前でも後でもいいです。継続の実体は「通う場所」なので、通えるかどうかを先に確かめる価値があります。場所は、講習を受けた店の練習会がいちばんです。知っている人がいて、入る場所と上がる場所が決まっています。

以上です。これで最初の30日は足ります。

水面のすぐ下を進むシュノーケラー。マスクとスノーケルだけを着けて、澄んだ浅場の砂地の上を泳いでいる。頭上の水面には自分の姿が鏡のように映り込んでいる。
写真: 最初の30日に要るのは、この装備だけだ。マスクとスノーケル、そして浅くて安全な水面。

全体像:必要になったときに開く記事

先に読む必要はありません。歩き始めてから、必要になったときに開いてください

よくある勘違い、3つ

「肺活量が大きくないと無理」

違います。息こらえを終わらせているのは酸素の枯渇ではありません。二酸化炭素の蓄積による呼吸衝動です。鍛える対象は容量ではなく、耐性とリラックスです。

「潜る前に深呼吸すると長く潜れる」

最も危険な誤解です。過換気で減るのは二酸化炭素だけです。酸素は増えません。「苦しい」が来るのが遅れるだけです。苦しくないまま酸素が尽きます。

「浅ければ安全」

シャローウォーターブラックアウト(浅水失神)という名前が示すとおり、数メートルでも意識喪失は起こります。区切っているのは深さではありません。息を止めているかどうかと、隣に誰かいるかどうかです。

ひとつだけ、絶対のルール

絶対にひとりで潜るな。これがこのコースで最も重要な原則である。ひとりで潜る、あるいは訓練されたバディ(一緒に潜って水面で見張り合う相手)がいない状態で重度の低酸素事象に見舞われたとき、生き延びる可能性は極めて低い。 — RAID Open Water Freediver 教材

DANの安全指針も同じで、「練習であっても決してひとりで潜らないこと」です。水中に限らず、陸上での限界までの息こらえも、単独では行いません。逆に言えば、守ることはそれを含めて3つだけです。交代で潜って水面から見る、痛んだらその潜水はやめる、潜る前に息を荒くしない、の3つです。

次の一歩

最初の1本までに、やることは3つです。

  1. 今週中に、通える範囲の講習を1つ見つけて申し込んでください。 団体名ではなく日程で選んで構いません
  2. マスクを、店で顔に当ててから買ってください。 ストラップを付けずに当てて、軽く吸って落ちなければ合っています
  3. 息こらえを測るなら、人のいる場所で座って測ってください。 タイマーはその前提で作ってあります

練習できる場所は、下の「近くの練習会を探す」から都道府県で引けます。

本記事は各指導団体の公開資料に基づく情報提供であり、講習の代替ではありません。安全に関わる判断は必ず有資格のインストラクターに従ってください。