フリーダイビングを始めると、すぐにこの壁にぶつかる。練習する場所がない。

普通のスポーツクラブのプールは水深1.1〜1.4m。潜れない。フィンの使用を禁止しているところも多い。

では水深5mのダイビングプールへ、と思って調べると、今度は「個人利用不可」「有資格者の常駐が必要」という文字が並ぶ。

この記事は、首都圏の水深4m以上のプールを公式資料で洗い出し、実際にどうすれば潜れるのかを書く。数値と利用条件はすべて施設公式サイト・公式PDFで確認した。

結論:個人で行って潜れるプールは、ほぼ存在しない

先に結論を書く。これが分かっていないと時間を無駄にする。

首都圏の深いプールは、大きく3つに分かれる。

① 公営のダイビングプール → 使えない

東京アクアティクスセンター、横浜国際プール、千葉県国際総合水泳場。個人利用ができないか、できても**「飛込練習専用」。団体で借りるには有資格者の常駐**が要件になる。

② 民間のダイビングプール → 窓口が開いていない

ラック シャトー小金井、國富ダイビングプールなど。契約しているダイビングショップ経由での利用が基本で、個人で予約する窓口がない。

③ スクールの練習会 → これが唯一の現実的なルート

①②の施設を、スクールが枠を押さえて開催している。

つまり、「良いプールを見つける」問題ではなく、「良い練習会を見つける」問題だ。以下、施設側とスクール側の両方を並べる。

施設編:首都圏の深いプール一覧

首都圏の深いプール6施設の水深と個人利用可否。東京アクアティクスセンター5.0m(一般開放は飛込専用)、横浜国際プール5.0m(個人利用不可)、千葉県国際総合5.0m(事前登録者のみ)、シャトー小金井6.0m(契約ショップ経由)、國富5.0m(スクール経由)、マレア池袋3.0m(スクール講習内)。
図: 各施設の公式サイト・利用要項から BLUE BREATH が作成(2026年8月時点)。水深はあっても、個人でふらりと行って潜れる施設はひとつもない。
施設 水深 個人利用 立地
東京アクアティクスセンター 5.0m 一般開放時は飛込練習専用 江東区辰巳
横浜国際プール 5.0m 不可(明記) 横浜市都筑区
千葉県国際総合水泳場(飛込) 5.0m 事前登録者のみ 習志野市
ラック シャトー小金井 6.0m(+1.4m) 契約ショップ経由 小金井市
國富ダイビングプール 5.0m スクール経由 市川市
マレア池袋 最大3.0m スクール講習内 豊島区
OKマリンプロ(練馬) 1.2m/5.0m(要確認) 未確認 練馬区
ペガサスダイビングプール 未確認 未確認 船橋市高根町

東京アクアティクスセンター(辰巳)— 5m。ただし条件が厳しい

東京2020のレガシー施設。ダイビングプールは水深5.0m、25m×25mの国際公認プールで、首都圏では最も条件の良い水深だ。

ここで最も誤解されているのが「個人でも入れる」という話なので、公式資料で正確に書く。

一般開放予定表(令和8年8月分)の注記に、こうある。

<ダイビングプール> 1.一般開放時の個人利用は、「飛込練習専用」となります。

つまり一般開放の時間帯にダイビングプールへ入れても、それは飛込台からの飛込練習のための枠であって、フリーダイビングの潜水練習の枠ではない。さらに飛込台の利用には「飛込競技経験者であることの証明が必要となります」という条件がつく。

では団体で借りればいいのか。団体登録の要件PDFにはこう書かれている。

〈資格について〉・利用時において、次の基準を満たしている有資格者の常駐が必要です。 ・スキューバダイビング、シュノーケル、スキンダイビング利用の場合 ①スキューバダイビングのライセンス資格(インストラクター程度)

注意深く読んでほしい。利用の種目としてはスキンダイビング(=素潜り)が明記されている一方で、**求められている資格は「スキューバダイビングのライセンス資格(インストラクター程度)」**と書かれている。

文面通りに読むかぎり、フリーダイビングのインストラクター資格だけで団体登録が通るとは書かれていない。

実際にはこの施設でフリーダイビングの練習会が複数開催されている。運用上どう扱われているのかは公開資料からは判断できない。施設に直接確認すべき点として明記しておく。

  • 所在地:東京都江東区辰巳2-2-1/電話:03-5534-6410/開館 9:00〜21:00
  • 一般個人利用(メイン・サブプール)は700円/2時間30分。ただしメインプールの一般開放レーンは水深2.0m、サブプールは1.1〜1.4mで、深場の練習には使えない

横浜国際プール — 5m、個人利用は明確に不可

25m×25m・水深5mの国際公認プール。公式ページに一文でこう書かれている。

※ダイビングプールは個人利用出来ません。

利用は団体登録制で、新規は『利用案内』を見て団体登録を行う。登録済みの団体は予約スケジュールを見て申請書に記入し、FAXで申し込む。申込多数の場合は抽選になる。

  • 電話:045-592-0453/FAX:045-592-1402

※以前この記事では「FAX 045-592-0453 という紹介があるが誤りの疑い」と書いていたが、公式ページで上記のとおり確定した(2026年8月21日確認)。

引率者に求められる資格の具体的な基準と、フリーダイビングでの利用可否については、公開ページから読み取れない。ここは要確認事項として残る。

千葉県国際総合水泳場 — 飛込プールは5m

飛込プールは25m×25m・水深5.0m。公式には「事前に登録した方が利用可能」とあり、共同使用(個人での使用の場合)の枠が示されている。

よく引用される「潜水は禁止です」というFAQ記述があるが、原文を読むと Q「飛び込み、潜水は可能ですか」への回答で、メインプールに関するルールとして書かれている。

飛び込みはメインプールの指定されたコースのみ可能です。潜水は禁止です。

飛込プールでのフリーダイビング利用の可否について述べた記述ではない。 ここも施設への直接確認が必要な項目だ。

  • 所在地:習志野市茜浜2-3-3/電話:047-451-1555/FAX:047-451-1888

ラック シャトー小金井 — 首都圏最深の6m

JR中央線武蔵小金井駅からすぐ、ビルの地下にあるダイビングプール。公式サイトの記述は明快だ。

水深6mと1.4mのプールです。

首都圏で最も深い部類に入る。利用のかたちについても公式にこう書かれている。

ダイビングショップの方は、お客さんの練習でご利用いただけます。

つまりショップ経由が前提の設計だ。後述の BIG BLUE や PLATYPUS がここで定期練習会を開催している。

  • 電話:042-316-7571/平日 10:00〜21:00・土 9:00〜20:00・日 9:00〜18:00・第2および最終月曜 休

⚠️ 水深表記の食い違いに注意。 施設運営会社の公式サイトは6mと明記しているが、ここを使っているスクール側のサイトには「4m」と書かれているものがある。メインとサブの取り違え、あるいは実際に使用する区画の違いの可能性がある。深度を目当てに行くなら、事前に「当日使うのは何mか」を確認したほうがいい。

國富ダイビングプール(市川マリンセンター)— 5m・通年30℃

東西線原木中山駅から徒歩約15分。屋内のダイビング専用プールで水深5メートル、公式サイトによれば水温は平均30℃。冬でも寒くないのは実務上かなり大きい。

TRUE NORTH がこの施設を使ったプール練習プログラムを公開している(指導料・施設利用料・ウェイトレンタル込み)。

  • 都度払い:9,900円/1回
  • 4回券:35,640円(1回あたり8,910円・有効期限6か月)
  • 8回券:63,360円(1回あたり7,920円・有効期限12か月)

スクール編:実際に潜れるルート

ここからが実務。施設ではなく練習会を探す、が正解になる。

スクール 会場 1回あたり 備考
サニーブルー 横浜国際/辰巳/小金井 5,000円(初回7,000円) 首都圏の深場を横断的に使う
ぽんた 東京アクアティクス(辰巳) 3,300円〜 最安。ペガサスプールも使用
PLATYPUS シャトー小金井 6,000〜8,000円 種目別(下記)
BIG BLUE シャトー小金井 要問合せ 週4日開催
TRUE NORTH 國富(市川) 9,900円/回数券あり 器材レンタル込み
Purna 12,000円〜(2時間)
マレア池袋 自社プール(最大3m) コース制 水深は浅め

PLATYPUS — 種目別に選べる

自分の弱点に合わせて選べるのが特徴。

  • スタティックトレーニング:7,000円
  • ダイナミックトレーニング:7,000円
  • フィンワークトレーニング:6,000円
  • LSDフィンワークトレーニング:6,000円
  • スキン相談室・ドルフィンスイムクラス:8,000円
  • ※1人参加時は +1,500円

BIG BLUE — 週4日の定期練習会

水曜19:30 ダイナミック、木曜19:30 スイムレッスン、金曜19:30 フィンワーク、土曜9:30 スタティック・12:30 体験クラス。料金は公開されておらず問い合わせが必要。

ぽんた — 確認できた範囲で最安

船橋のスクール。東京アクアティクスセンターでの自主練習が 3,300円〜

選び方:3つの軸で決める

① 頻度で決める

月1回なら都度払いでいい。週1回のペースを作るつもりなら、回数券のあるスクールか1回5,000円前後のところを選ばないと年間コストが跳ね上がる。

月1回×12回でも、5,000円のところで年6万円、9,900円のところで年約12万円。倍以上違う。

② 種目で決める

深度を伸ばしたいのか、ダイナミック(水平距離)を伸ばしたいのか、息こらえを安定させたいのかで必要な水深は変わる。

ダイナミックとスタティックなら水深2mでも成立する。 深度練習が必要なときだけ5m・6mのプールを選ぶ、という使い分けが合理的だ。PLATYPUSのように種目別メニューが分かれているところは、この判断がしやすい。

③ 冬をどうするかで決める

海洋実習は伊豆でおおむね6〜11月。12〜5月はプールしか選択肢がない。

冬の練習を止めない前提なら、屋内かつ水温が高い施設(國富の平均30℃など)を押さえているスクールが有利になる。

現地に電話する前に、聞くべきこと

公式サイトで確認できなかった項目を、そのまま質問リストにしておく。

東京アクアティクスセンター(03-5534-6410)

  • 団体登録の資格要件について、フリーダイビングの指導者資格で登録できるか(PDFの記載は「スキューバダイビングのライセンス資格」)
  • ダイビングプールの一般開放枠で、飛込以外の潜水練習は可能か

横浜国際プール(045-592-0453)

  • 団体利用の引率者・人数要件の正確な条件
  • フリーダイビング(スキンダイビング)での利用可否
  • ウエットスーツ着用および潜行の可否

千葉県国際総合水泳場(047-451-1555)

  • 飛込プールでのフリーダイビング練習の可否、登録要件、料金
  • FAQの「潜水は禁止」が飛込プールにも及ぶか

ラック シャトー小金井(042-316-7571)

  • 契約ショップ以外からの直接利用の可否
  • 当日使用する区画の実水深(公式6m/スクール表記4mの食い違い)

ペガサスダイビングプール(047-439-1021)/OKマリンプロ(練馬)

  • フリーダイビング利用の可否・水深・料金

この記事で確認できなかったこと

正直に書いておく。

  • 横浜国際プールの引率者要件・器材制限 … 団体登録制・FAX申込・抽選という手順までは公式で確認できたが、引率者に求める資格の具体的な基準は読み取れなかった
  • 千葉県国際総合水泳場の飛込プール利用条件 … 事前登録者のみという記載までで、フリーダイビング利用の可否は未記載
  • OKマリンプロ … 公式サイトのSSL証明書エラーで参照できず、水深・料金ともに未確認のまま掲載している
  • 料金の税込/税別 … 掲載額はすべて公開表示のままで、別が明記されていないものを含む
  • 東京アクアティクスセンターの団体登録要件 … 記述と実際の運用が食い違っている可能性が高いと考えている

これらは施設への確認が取れ次第、この記事を更新する。この記事は毎月更新する。 料金改定・新規施設・閉鎖の情報があれば教えてほしい。


掲載内容は各施設・スクールの公開情報に基づきます。利用条件は変更される場合があるため、訪問前に必ず各施設へご確認ください。