「ロングフィン(フリーダイビング用の、ブレードの長いフィン)を買いたいけど、何を見て選べばいいのか分からない」
素材が3種類あって、硬さが3段階あって、値段が3倍違います。店のページを見ても、どれが自分に合うかは書いていません。私も最初は、いちばん評判のいいものを買えばいいと思っていました。
この記事は、これからロングフィンの最初の1本を買おうとしている方に向けて書きました。答えから言います。素材より先に硬さで選びます。そして、買う前に飛行機のことを考えます。 メーカーが公式サイトで書いている硬さの基準と、航空会社の預け荷物の規定だけで組み立てました。
持ち帰りは3つです。
- 硬さは体重と脚力で決まる。女性と軽い人はソフト、膝を曲げて蹴る癖がある人はミディアム
- ブレードだけで52〜64cm。フットポケットを足した全長の公式値は、どのメーカーにも無い
- ANA国内線の無料枠は3辺の合計158cm。フィンを入れたケースは、これを超えやすい
硬さは、体重と脚力で決まる
メーカーでいちばんはっきり書いているのがMolchanovsです。フットポケットのサイズガイドに、硬さごとの対象者があります。ソフトは、女性全般、脚をまっすぐにしたキックができるアスリート、トレーニング用途で使いたい男性向けです。
Soft: Suitable for all women, for athletes with excellent straight-leg bifin technique, and for men who want to use these fins for training and performance. — Molchanovs Footpocket Sizing Guide
ミディアムは、膝を曲げるキックに頼る人と、脚をまっすぐにして蹴る力の強い男性向け。ハードは、潮流のある海で潜る魚突き師のように、非常に力が強く体格の大きい男性向けです。別のガイド記事では「小柄・軽い人はソフト、大柄・重い人はミディアム」と短くまとめています。
女性は全員ソフト
女性は全員ソフト、と書き切っているところに注目してください。 男性でもトレーニング用途ならソフトです。ハードが想定しているのは、潮流の中で魚を追う人です。初めての1本でハードを選ぶ理由は、メーカーの基準のどこにもありません。
もう一つ、ミディアムの説明に「膝を曲げるキックに頼る人」とあるのが大事です。膝を曲げて蹴る癖は、初心者ほどあります。つまり初心者は、技術の点ではミディアム寄り、体格の点ではソフト寄りです。迷ったら、下の「難しい理由」を先に読んでください。
素材は、硬さが決まってから
素材は3系統です。
| 素材 | メーカーの記述 |
|---|---|
| プラスチック | Cressi Gara 3000 LD「柔らかいロングブレードで、労力を最小限にしつつ推進力を効率よく伝える」 |
| ファイバーグラス | Molchanovs「ファイバーグラスはカーボンより丈夫」 |
| カーボン | Molchanovs「カーボンはファイバーグラスより軽い」。Alchemy V3 Proはカーボン13層・含有率72%以上 |
カーボンフィンのメーカーであるAlchemyは、ブログで「最初の1本をプラスチックにするな」と書き、続けるか分からないならファイバーグラスがコスパ最良、カーボンは効率の極致、としています。ただし、カーボンフィンを売っている会社の意見です。
私の考えは器材の記事と同じです。最初の1本にカーボンは要りません。 値段ではなく、硬さの選び方がまだ分からないうちに、いちばん硬さの差が出る素材を買うことになるからです。講習でレンタルしたフィンの硬さを覚えておいて、同じ硬さのファイバーグラスかプラスチックから始めてください。
ロングフィンが難しい理由と、コツは膝にある
「ロングフィンは難しい」と感じる人は多いです。難しいのはフィンではなく、蹴り方と足首です。
フリーダイビングのフィンキックは、膝ではなく腰から動かします。FreediveUKは、脚をまっすぐにした状態で股関節から蹴ると書いています。脚をまっすぐに保つと、フィンが適切な角度でしなり、水が後方へ流れます。膝を曲げると、ブレードがしなる前に水を上下にかき回すだけになります。短いフィンで泳いできた人ほど、この癖が残ります。
そして足首です。フリーダイビング指導者のEmma Farrellは、技術を習得して足首が強くなるまでは、非常に柔らかいフィンか短いフィンを選ぶ必要があるかもしれない、と書いています。ロングフィンは、足首を伸ばしたまま保つ力を要求します。その力がないうちに硬いフィンを履くと、ふくらはぎがつります。最初の1本が「難しい」なら、硬すぎるか、膝で蹴っているかのどちらかです。
買う前に、飛行機のことを考える
ここが、買ってから気づく人がいちばん多いところです。
ブレードの長さは、Molchanovs SPORT Bifinsがソフト62cm・ミディアム64cm、Alchemy V3 Proが52cmです。ここにフットポケットが付きます。フットポケットを足した全長を公式値として書いているメーカーは、確認した中にありませんでした。
一方、ANA国内線の無料手荷物許容量のページには、こうあります。
3辺(縦、横、高さ)の合計が158cm以内 *キャスターと持ち手を含む *3辺の合計が158cm以内であっても、使用する航空機により最長辺には制限があります。 — ANA 国内線 無料手荷物許容量
フィンを入れたケースが仮に長辺95cm・幅40cm・厚み25cmなら、合計160cmで枠を超えます。3辺の和が203cmを超えると預かれない場合があり、小型機では203cm以内でも最長辺で引っかかります。沖縄や離島へ行くとき、最後の区間がプロペラ機なら、フィンの長さが先に問題になります。
対策は3つです。機種ごとの最長辺の目安をANAのページで確認する、ブレードが短いモデルを選ぶ、現地でレンタルする、の3つです。フィンを買う前に、行きたい海への便の機種を見ておく。 買ってから気づくと、ケースごと置いていくことになります。
日本では公式ディーラーが無い
Molchanovsの公式ディーラー一覧(2026年8月22日時点)に、日本は載っていません。タイ・中国・香港・韓国・台湾・シンガポールなどはあります。日本で買う場合は公式ディーラーではない経路になるので、サイズ交換や保証の条件は買う前に確かめてください。
この記事で確認できなかったこと
- フットポケットを含めた全長の公式値(どのメーカーの製品ページにも無し)
- Mares・Leaderfins・C4の公式記述(公式サイトが開けず、体重別の硬さ表は未確認)
- JAL・Peach・Jetstarの預け荷物のサイズ規定(公式ページが403またはタイムアウト)
次の一歩
最初の1本を買うなら、順番はこうなります。
- 講習でレンタルしたフィンの硬さを、店員に聞いて覚えてください。 それが自分の基準です。体重と脚力で決まるものを、評判で決めないでください
- 行きたい海への便の機種を先に見てください。 3辺の合計158cmと、機種ごとの最長辺。買ってから気づくのがいちばん高くつきます
- ふくらはぎがつったら、フィンを疑う前に膝を疑ってください。 腰から、脚をまっすぐに。足首が強くなるまでは柔らかいほうへ
蹴り方を見てくれる人を探すなら、下の「近くの練習会を探す」から都道府県で引けます。
本記事は各メーカー・航空会社の公式サイトの2026年8月22日時点の記述に基づく情報提供です。製品仕様と手荷物の規定は変わります。購入・搭乗前に各社の最新ページをご確認ください。
