「素潜りのやり方を知りたいけれど、何から覚えればいいですか」

この記事は、そう調べている方に向けて書きました。答えから言います。順番は3段です。①陸とプールで呼吸と息止め、②プールで横に進む、③海で潜る、の順です。指導団体の教程は、海に出る前に呼吸と「戻り方」を済ませるように組まれています。

コツを並べるより、教程の順番を知るほうが早く進めます。安全にも進めます。

持ち帰りは3つです。

  1. 最初に覚えるのは潜り方ではなく、浮上したあとの呼吸です。 教程はこれを最初の段に置いています
  2. 耳抜きとダックダイブ(頭から潜る動き)は、海の段になってから出てきます。 プールの段階に深さはありません
  3. どの段にも「ひとりで」がありません。 バディ(一緒に潜って見ている相手)が腕1本の距離にいることが条件です

教程の順番は3段です

AIDA(国際フリーダイビング団体)の初級コース AIDA2 の教程は、公開されています。段階ごとに「できるようになること」が並んでいます。その順番が、そのままやり方です。

素潜りを覚える順番を3段で示した図。①プールで呼吸と息止め ②プールで横に進む ③海で耳抜き・ダックダイブ・12m。
図: AIDA2 Guidelines v3.2 のプールと海のセッションの到達項目から BLUE BREATH が整理。

①プールで、呼吸と息止め

最初のプールのセッションで求められるのは、この順です。

  • 腹式呼吸と、息止めの前のリラックス
  • 1回の深い吸気(教程は「One Full Breath」と呼びます)
  • 息止めのあいだのリラックス
  • 息止めの終わりのリカバリー呼吸
  • バディと一緒に、安全に、少なくとも2分の静止した息止め
  • バディが意識を失いかけたとき、失ったときの救助

潜る動きは、まだ一つもありません。最初の段で体に入れるのは「吸って、止めて、戻ってきたら吐いて吸う」です。教程が最初に教えるのは潜り方ではなく、戻り方です。

②プールで、横に進む

2つ目のプールのセッションで、初めて動きます。

  • プールの縁で浮上したあとのリカバリー呼吸
  • フィンで息止めのまま泳ぐときの、足の使い方
  • バディの手順。水面を横向きに泳いで並走する。潜っている人が浮上を選ぶときは、腕1本の距離にいる
  • バディと一緒に、少なくとも40mの距離を潜って泳ぐ

ここで出てくるのは「横に進む」です。東京のスクールの初級コースも同じです。TRUE NORTHは「プールで横に20m潜水」です。東京ダイビングセンターは「マスク・スノーケル・フィンの使い方、フィンキックの仕方、水中への潜り方」を約1時間で扱います。

③海で、潜る

海のセッションで初めて、深さが出てきます。教程が海で扱うのは「耳抜き、ダックダイブ、垂直に泳ぐこと、体の姿勢、ターン、ロープの使い方」です。到達点はこうです。

  • ロープをたぐって降りる(フリーイマージョン)
  • フィンで、少なくとも12m、最大20mまで潜る(水温が12℃より低いときは10m)。ダックダイブと、ロープに沿った潜降を含む
  • 浮上してくるバディを、決められた深さで迎える
  • 5〜10mで意識を失ったダイバーを、水面まで引き上げて救助する

深さは「インストラクターが決める」と教程に書かれています。自分で決める段階は、初級にはありません。初心者は何mまで潜れるかに、団体ごとの線を並べています。

耳抜きは海の段ですが、動きは陸でできます

教程の順番では、耳抜きは③の海で初めて出てきます。ただし、鼻をつまんで耳に空気を送る動きは陸で練習できます。海で初めてやると、潜降の途中で止まって戻ることになります。耳抜きの練習は家でどこまでできる?に、陸でやれる分と海の分を分けて書きました。

ダックダイブ(頭から潜る動き)も同じで、プールで形を作ってから海に持っていきます。潜れない、浮いてしまうに、力より先に疑う浮力の話を書いています。

「ひとりで」は、どの段にもありません

教程を通して読むと、どの段にも共通する条件があります。バディです。プールの息止めは「バディと一緒に、安全に」です。横に進むときは「バディは腕1本の距離に」です。海では「浮上してくるバディを迎える」と続きます。ひとりでやる段階は、初級の教程のどこにもありません。

だから、やり方を読んで一人で海に行くのは、教程の外の行動です。「最初の1回はスクールで」は営業の文句ではなく、教程の構造です。体験は何をするかに、最初の1回の内容と料金を書いています。

この記事で確認できなかったこと

  • PADIフリーダイバーコースのスキル一覧の原文(日本語公式に接続できず、深さの目標だけ英語のFAQで確認しました)
  • AIDA2の教程で、耳抜きの方法(舌で押す方法か、鼻をつまんで息む方法か)をどちらで教えるかの指定
  • 各スクールが①②を1日で済ませるか、2日に分けるか

次の一歩

今日できるのは①の一部です。座ったまま、腹式呼吸で落ち着きます。ふつうに吸って止め、戻ってきたら吐いて吸います。このページのタイマーで、秒数を競わずに「戻る呼吸」だけ試してみてください。

②と③は、見ている人がいる場所で。フリーダイビングの始め方に、スクールの選び方から順に書いています。