「素潜りで大きなひらめを見つけました。持ち帰るのに、大きさの決まりってあるんでしょうか」

この記事は、素潜りで魚や貝を見つけたときに、体長の決まりが気になる方に向けて書いています。

答えから言います。ひらめ・まだい・くろだい・めばる・かさご・あいなめには、今回確認した9都道県のどこにも体長制限がありません。 制限があるのは、うなぎやぶりの幼魚など、限られた種類だけです。

持ち帰りは3つです。

  1. うなぎ・ぶりの幼魚(もじゃこ)・こいなど、一部の魚だけに体長制限があります。 ひらめやまだいのような磯の代表的な魚には制限がありません
  2. 貝や甲殻類のほうが規制は手厚いです。 あわびは殻長9〜12cm、いせえびは13〜20cmなど、県ごとに数値が決まっています
  3. 測り方は種で違います。 魚は全長、貝は殻長、さざえは殻蓋の径で測ります

うなぎ・ぶり・こいには体長制限があります

神奈川・静岡・三重・兵庫・北海道・千葉・和歌山・東京・沖縄の9都道県の漁業調整規則(都道府県が漁業法に基づいて定める規則)を確認しました。千葉だけは原文PDFが縦書きで機械抽出できず、県公式のQ&Aから拾っています。

神奈川 静岡 三重 兵庫 北海道 千葉 和歌山 東京 沖縄
うなぎ 24cm以下 13cm以下 20cm以下 20cm以下 確認できず 26cm以下 30cm以下 24cm以下 確認できず
ぶり(もじゃこ) 15cm以下 15cm以下 15cm以下 15cm以下 確認できず 15cm以下 15cm以下 15cm以下 確認できず
こい 18cm以下 20cm以下 15cm以下 15cm以下 確認できず 確認できず 確認できず 確認できず 確認できず
いわな・やまめ 12cm以下 12/15cm以下 12/10cm以下 12cm以下 確認できず 確認できず 確認できず 確認できず 確認できず
さけ・ます 確認できず 確認できず 確認できず 確認できず 20cm未満 確認できず 確認できず 確認できず 確認できず
ひらめ・まだい・くろだい・めばる・かさご・あいなめ 確認できず 確認できず 確認できず 確認できず 確認できず 確認できず 確認できず 確認できず 確認できず

うなぎだけで11cm以上の開きがあります。もじゃこ(ぶりの稚魚)は8県ともに15cm以下で足並みがそろっています。一方でひらめ・まだい・くろだい・めばる・かさご・あいなめの列は、9都道県のどこも「確認できず」です。この行の「確認できず」は、9都道県の規則に規定が見当たらなかったという意味です。

測り方は種によって違います

同じ「大きさ」でも、測る位置は種で変わります。魚の全長は「吻端(口の先端)から尾鰭の末端より垂下した直線に至るまでの距離」と静岡県の図解が説明しています。いせえびは神奈川・東京では眼の付根から尾の末端まで、三重だけは頭胸甲長(頭と胸をおおう甲羅の長さ)4.2cmで測ります。貝は殻長(殻の前縁と後縁の最大距離)、さざえだけは殻蓋の径で測る決まりです。測る位置を間違えると、制限内のつもりが違反になります。

あわび・さざえ・いせえびは、貝と甲殻類のほうが厳しいです

魚より数が多いのが貝と甲殻類です。共通して規制されるのはあわび・とこぶし・さざえ・はまぐり・あさり・いせえびで、9都道県のうち6〜8県で数値が確認できました。

神奈川 静岡 三重 兵庫 千葉 和歌山 東京 沖縄
あわび(殻長) 11cm以下 11cm以下 10.6cm以下 9cm以下 12cm以下 10cm以下 11cm以下 確認できず
とこぶし(殻長) 確認できず 5cm以下 確認できず 確認できず 5.5cm以下 4.5cm以下 4.5cm以下 確認できず
さざえ 殻がい長径3cm以下 殻蓋の径3cm以下 殻蓋長径2.5cm以下 殻蓋の径2.5cm以下 殻高7cm以下 確認できず 殻長5cm以下 殻高6cm以下
いせえび 体長13cm以下 13cm以下 頭胸甲長4.2cm以下 確認できず 全長13cm以下 15cm以下 13cm以下 20cm以下
はまぐり(殻長) 4cm以下 3cm以下 3cm以下 確認できず 3cm以下 確認できず 4cm以下 確認できず
あさり(殻長) 2cm以下 2cm以下 2cm以下 確認できず 2.7cm以下 確認できず 2.5cm以下 確認できず

北海道は貝・甲殻類の対象種がうに・けがに・ほっきがいなど別の顔ぶれで、この表の6種とは重ならなかったため列を外しています。

あわびの殻長は最小の兵庫9cmから最大の千葉12cmまで、3cmの幅があります。県境をまたいで潜る方は、その差を知らないまま前の県の感覚で持ち帰ると違反になりかねません。

あわびの殻長制限を県別に並べた図。千葉12cm・神奈川11cm・静岡11cm・東京11cm・三重10.6cm・和歌山10cm・兵庫9cmで、最大3cmの差がある。
図: 各県漁業調整規則からBLUE BREATHが集計(2026年8月23日時点)。

罰則は漁業法119条4項が上限を定めており、6月以下の拘禁刑(2025年6月の刑法改正で懲役・禁錮から一本化された刑罰名)または10万円以下の罰金、あるいはこれらの併科です。神奈川・静岡・兵庫・東京・沖縄の規則はこの上限をそのまま採用しています。三重・北海道・和歌山の入手PDFは「懲役」表記でしたが、これは古い版の可能性があり、実際の適用条文は最新の拘禁刑表記に読み替えられているとみられます。

制限が無い魚も、無条件で採ってよいわけではありません

ひらめやまだいに体長制限が無いことは、その海域で自由に採ってよいことを意味しません。別の3つの網がかかっている場合があります。

漁業権・やす・禁漁期は別の話です

1つ目は共同漁業権です。多くの海岸は漁協の権利が及ぶ区域で、対象種なら体長に関係なく組合員以外は採れません。詳しくは素潜りでサザエ・アワビは違法?にまとめています。2つ目は道具です。やす・銛を使う採捕は都道府県ごとに可否が分かれます。詳しくは素潜りで魚突きは違法?を確認してください。3つ目は禁漁期です。体長を満たしていても、期間中は採捕そのものが禁止されます。網を使う採捕のルールは素潜りでたも網は使える?、いせえびの個別規定は素潜りで伊勢海老を採ったら違法?にあります。

体長・漁業権・道具・禁漁期の4つがすべてクリアして、初めて合法という構造です。

この記事で確認できなかったこと

  • 千葉県漁業調整規則37条の原文(PDFが縦書きで機械抽出できず、公式Q&A経由の情報です)
  • 兵庫県のあさり・はまぐりの体長数値
  • 三重・北海道・和歌山の罰則条文が最新の拘禁刑表記に改正済みかどうか

次の一歩

  1. 自分が潜る県の名前で「◯◯県漁業調整規則」を検索し、体長表を確認してください。 上の表は出発点で、正本は県のサイトにあります
  2. 測るときは、種類ごとの測り方(全長・殻長・殻蓋の径・頭胸甲長)を確認してから測ってください。 位置を間違えると、制限内のつもりでも違反になります
  3. 体長をクリアしていても、その海域が共同漁業権の対象かどうかを確認してください。 判断がつかなければ、地元の漁業協同組合か県の水産担当課に聞いてください

安全に潜るための共通の注意は安全の原則にまとめています。

全長とは、吻端から尾鰭の末端より垂下した直線に至るまでの距離をいう。 — 静岡県「採捕できる大きさの測り方(図解)」

本記事は2026年8月23日時点で公開されている法令・規則・行政資料に基づく情報提供であり、法律の助言ではありません。個別の事案については、都道府県の水産担当課、漁業協同組合、または弁護士にご相談ください。