「和歌山でシュノーケリングをするなら、どこがいいですか」
そう調べると、串本という地名がまず出てきます。日本で最初の海中公園、テーブルサンゴの北限、透明度。そこまではどのページにも書いてあります。
この記事は、ツアーに申し込むのではなく自分で海に入ろうと考えている方に向けて書きました。答えから言います。水温で入れる期間は8か月あるのに、海水浴場として開いているのは66日だけです。 4倍近く違います。
持ち帰りは3つです。
- 入れる期間と、見てもらえる期間は別物です。 海水浴場として開くのは6月27日から8月31日までの66日です
- 採るつもりで行かないでください。 日本で最初の海中公園で、和歌山県の規則は遊漁者が使える漁具に「やす」を挙げていません
- 通って練習する場所は、和歌山の外で探すことになります。 練習会の拠点は県内に1つもありません
水温だけで見れば、8か月あります
気象庁の日別海面水温を2016年から2025年まで10年分平均すると、熊野灘・串本の月平均が20℃以上になるのは5月から12月までの8か月でした。20℃は、3〜5mmのウェットスーツで無理なく入れる境目としてこのサイトが引いている線です。
伊豆も館山も6か月なので、串本はそれより2か月長いです。串本より長いのは八丈島・三宅島・沖縄、そして九州の宮崎から南です(九州の海は別に数えました)。本州の陸続きで、いちばん長く入れる海がここになります。 海域ごとの数字は素潜りの時期はいつ?にあります。
ところが、海水浴場が開くのは66日だけ
串本町の公式サイトによると、2026年の海開きは6月27日で、橋杭海水浴場と田原海水浴場の開設期間はどちらも8月31日までです。66日間です。遊泳時間は橋杭が9時から17時、田原が10時から17時です。
水温が20℃を超える8か月のうち、海水浴場として管理されているのは4分の1ほどです。5月や10月に入ること自体は水温の面で無理がありません。ただし、そのとき入るのは海水浴場ではない海です。
なお、Web上に流れている「荒船海水浴場」は、町の公式サイトでは磯釣りとハイキングの景勝地として紹介されていて、海水浴場としての記載はありません。この記事では海水浴場として扱っていません。
日本で最初の海中公園で、環境省が「バディを組め」と書いています
串本沿岸海域は1970年、海中公園の制度ができたときに最初に指定された地区のひとつです。2005年にはラムサール条約の湿地にも登録されました。環境省は「北緯33度30分という北にありながら、熱帯性生物群集が豊富にみられる貴重な場所」と書いています。黒潮が当たるので冬でも冷え切らず、サンゴが北限を越えて生きていられます。水温の長さと同じことを、別の側から言っています。
同じ環境省のサイトの「利用上の注意」に、こうあります。
海中では2人1組のバディを組んで行動してください — 環境省 近畿地方環境事務所
2人1組で動くことは、フリーダイビングの団体が講習の最初に教える原則です。行政の観光向けページが同じことを書いている例は多くありません。上陸のときに波が荒ければ一度沖へ出て入りやすい岩の切れ込みを探せ、という具体的な指示まで載っています。
和歌山県の規則に「やす」はありません
和歌山県漁業調整規則の第45条は、遊漁者が使える漁具を6つ列挙しています。竿釣・手釣、たも網・叉手網、投網、は具、徒手採捕、ひき縄釣です。「やす」という語はありません。
これが効いてくるのは、同じ規則の第38条が「火光その他の照明を利用するやす突漁法」と、やすの語を使っているからです。規則は「やす」という言葉を持っていて、そのうえで遊漁者に認める一覧には入れていません。沖縄県は「やす及びは具」と並べて書き、静岡県は「水中眼鏡を利用する場合を除く」と条件を付けます。和歌山県は語ごと置いていません。県ごとの一覧は魚突きは違法?にあります。
道具の前に、獲ってはいけない相手もいます。イセエビは5月1日〜9月15日、アワビとトコブシは9月1日〜2月末、ナマコは4月1日〜7月31日が採捕禁止で、イセエビの禁止期間は海水浴場の夏と重なっています。漁業権の対象(イセエビ・アワビ・サザエ・ワカメなど)は、漁具が使える場合でも採れません。串本海中公園の園内は「生き物の採集は禁止」と運営側が言い切っています。
現地で決まっていること
| 内容 | |
|---|---|
| 海水浴場 | 橋杭・田原の2か所。2026年は6月27日〜8月31日 |
| 遊泳時間 | 橋杭9:00〜17:00/田原10:00〜17:00 |
| 監視員 | 町・観光協会いずれのサイトにも記載が見つかりませんでした |
| 串本海中公園 | 入場券販売9:00〜16:00・年中無休・駐車場は無料200台。申し込みは当日フロント棟(予約は受け付けていない) |
| 対象年齢 | 3歳以上。未成年は保護者署名入りの申込書 |
体験の料金は、海中公園の公式サイトと県の観光サイトで金額も区分も食い違っていたので、書いていません。行く前に電話で確認してください。沖合は「ダイビングエリアには入らない」「ボート航路になるので沖まで行かない」と運営側が二重に注意しています。
この記事で確認できなかったこと
- 海水浴場の監視員の有無(町・観光協会のどちらのサイトにも記載なし)
- 「は具」に「やす」が含まれるのかどうか(条文は「は具」としか書いておらず、定義も見つからず。突くつもりなら県の資源管理課へ)
- 海域公園地区1号〜5号の具体的な範囲
次の一歩
串本に行くつもりなら、順番はこうなります。
- まず、行く時期で話が変わることを押さえてください。 6月27日から8月31日までなら、橋杭か田原の海水浴場が開いています。それ以外は、管理されていない海に自分で入ることになります
- 潜るなら、見ていてくれる人を水面に置いてください。 環境省自身が「2人1組のバディを組んで」と書いている海です。海で守るのはこの3つだけです
- 体験から入るなら、当日フロント棟で申し込めます。 串本海中公園は事前予約を受け付けていないので、行ってから決めても間に合います
続けるつもりなら、練習できる場所も見ておいてください。下の「近くの練習会を探す」で都道府県から探せます。ただし和歌山県には、こちらで数えた34拠点のうち1件も入っていません。最も近いのは大阪・兵庫・奈良です。関西の他の海は関西でシュノーケリングにまとめました。
本記事は各公式サイトの2026年8月21日時点の記述に基づく情報提供です。開設期間・料金・現地のルールは年によって変わります。行く前に必ず串本町または各施設へ直接ご確認ください。
