「与論島の海は、どこで泳いでもいいのですか」

この記事は、そう考えている方に向けて書きました。答えから言います。与論島の礁湖は、まるごと国立公園の海域公園地区です。採ることは法律で止まっていますが、泳ぐ場所と期間と監視員は、町の公式サイトのどこにも書かれていません。

使ったのは、環境省の国立公園の資料、与論町とヨロン島観光協会の公式ページ、鹿児島県の規則とQ&A、船会社の運賃表、海上保安庁と警察庁の統計、気象庁の水温だけです。

礁湖746haが、奄美群島で最も広い海の保護区です

2017年3月7日、奄美群島国立公園が指定されました。環境省の資料にある海域公園地区の一覧です。

海域公園地区 箇所数 面積
与論島礁湖 1 746ha
与論海岸 3 165ha
摺子崎(奄美大島) 1 79ha
大島海峡 3 69ha
笠利半島東海岸(奄美大島) 1 65ha
奄美群島国立公園の海域公園地区5つの面積を横棒で並べた図。与論島礁湖746ha、与論海岸165ha、摺子崎79ha、大島海峡69ha、笠利半島東海岸65ha。与論島の2つで全体の8割を超える。
図: 環境省「奄美群島国立公園 公園の概要」の海域公園地区一覧から BLUE BREATH が作図。

与論島の2つを足すと911haで、奄美群島の海域公園地区1,124haの8割を超えます。礁湖(リーフの内側の浅い海)そのものが1つの地区で、島を囲む海の大半が入ります。屋久島の栗生114haの6倍以上です。

海域公園地区では、環境大臣が指定した熱帯魚・さんご・海藻などを、許可なく捕獲・採取・損傷すると自然公園法に触れます。サンゴを折ることも、貝を拾うことも、指定種なら同じです。石垣島の米原と同じ仕組みです。

漁具は県が認め、水中銃は止めています

鹿児島県漁業調整規則第44条は、遊漁者が海面で使える漁具に「やす、は具及びほこ突き」を挙げています。県のQ&Aは、水中銃は第44条の漁具に該当しないので使えない、です。ただし海域公園地区の中では、道具が使えても指定種は採れません。与論町の漁協が独自に出しているルールは見つかりませんでした。

泳ぐ場所と期間は、町のサイトにありません

与論町の公式サイトで海水浴場を探すと、出てくるのは2011年の「海開き・旧暦3月3日浜下り」の記事です。茶花海岸で海の安全祈願の式をした、という内容で、開設期間も監視員も書かれていません。海水浴場の一覧ページは見つかりませんでした。

環境省が毎年まとめる水浴場の水質調査(このサイトの県別データに731か所を載せています)にも、与論町の浜は1つもありません。屋久島の一湊や新島の前浜は載っています。つまり与論島の浜は、国の調査にも町の告知にも「海水浴場」として出てきません。

ヨロン島観光協会は、こう書いています。

かんたんな道具を使って浅瀬をのぞくシュノーケリングは、泳ぐのが苦手という方やお子さま、シニアの方まで誰でも楽しむことができるのも魅力です — ヨロン島観光協会

その下に、体験できるマリンショップが並びます。つまり与論島では、どこで・いつ・誰が見ているかを決めているのは町ではなく、店です。

百合ヶ浜の料金も、店に聞く形です

百合ヶ浜は「潮の満ち引きによって限られた時間に出現するため『幻の砂浜』と呼ばれています」。大金久海岸の沖合約1.5kmにあり、大金久海岸・麦屋漁港・皆田海岸などから船が出ます。観光協会のページに渡船の料金はなく、「島内のマリンショップさんにお問い合わせください」です。出現する時間も限られているので、観光協会か店に聞くことになります。

水温は12か月、2月でも21.5℃です

気象庁の日別海面水温を2016年から2025年まで平均すると、奄美群島沿岸南西部(与論島を含む海域)の月平均は12か月すべて20℃を超えます。最低は2月の21.5℃、最高は8月の29.5℃です。沖縄本島 北の2月21.8℃とほぼ同じで、水温だけなら冬に行けます。

船は鹿児島から2等13,620円

マリックスラインとマルエーフェリーの鹿児島〜与論は、2026年8月3日以降の大人片道が2等13,620円、1等27,240円、特等34,050円です。これに燃料油価格変動調整金が別に加算されます。奄美海上保安部の管内では、2026年7月末時点の人身事故は14人、2025年は20人でした。島ごとの内訳は公表されていません。

この記事で確認できなかったこと

  • 海水浴場の一覧・開設期間・監視員(町の公式サイトに記載なし)
  • 飛行機の公式運賃と、マリンショップの公式料金(観光協会のページに金額なし)
  • 与論島の水難事故の件数(海保の数字は奄美管内の合計のみ)

次の一歩

与論島に行くなら、順番はこうなります。

  1. 初めてなら、観光協会の一覧にあるマリンショップから入ってください。 浜の期間も監視員も町は決めていません。見ているのは店です
  2. 採らないでください。 礁湖はまるごと海域公園地区です。指定種を採ると自然公園法に触れます
  3. 自分で浜から入るなら、見ていてくれる人を水面に置いてください。 海で守るのはこの3つだけです

持ち物はシュノーケリングの持ち物に、九州の他の海は九州でシュノーケリングにまとめました。

本記事は環境省・与論町・ヨロン島観光協会・鹿児島県・マリックスライン・海上保安庁・警察庁の2026年8月22日時点の公開情報と、気象庁のデータに基づく情報提供です。料金・ルールは年によって変わります。行く前に必ず観光協会か各店へ直接ご確認ください。