「石垣島に行くので、初めての素潜りをやってみたいんですが、どこがいいですか」

そう調べると、たいてい川平湾と米原ビーチが先に出てきます。写真がきれいで、名前が短くて、覚えやすい2か所です。

この記事は、ツアーではなく自分で入ろうと考えている方に向けて書きました。答えから言います。川平湾では泳げません。そして米原ビーチは、条例の上では海水浴場ではありません。 石垣島の海は、泳げる海・泳いでいい海・泳げない海の3つに割れています。

持ち帰りは3つです。

  1. 川平湾で泳ぐ計画は、最初に外してください。 遊泳禁止の海で、船から見る場所です
  2. 監視のある浜がいいなら、届出のある8か所から選んでください。 底地ビーチはその1つで、米原ビーチは入っていません
  3. 米原に入るなら、荒天の日はやめてください。 離岸流が発生しやすいと石垣市の資料が書いています

泳げる海、泳いでいい海、泳げない海

石垣島の海の3分類。届出のある海水浴場は石垣市に8か所あり、監視員とクラゲネットが置かれる期間がある。米原ビーチや吉原、白保は届出が無く、任意の利用ルールはあるが監視の義務は無い。川平湾は国の名勝で潮流とグラスボートのため遊泳禁止。
図: 沖縄県警察「海水浴場 届出事業所一覧(令和8年6月30日現在)」および石垣市の公表資料から BLUE BREATH が分類。

沖縄県の「水難事故の防止及び遊泳者等の安全の確保等に関する条例」では、海水浴場を開設する者は公安委員会へ届け出ます。県警が公表している一覧を数えると、県全体で70か所、石垣市に所在するものが8か所でした。底地海水浴場、モラモラビーチ、南ぬ浜町海浜緑地、マエサトビーチ、真栄里ビーチ、フサキビーチリゾート、クラブメッドビーチ、石垣島サンセットビーチです。

この一覧に、米原ビーチはありません。川平湾もありません。川平湾はそもそも遊泳が禁止されています。国の名勝で、潮の流れが速いことと、グラスボートが湾内を多数動いていることが理由です。米原ビーチは禁止されていません。ただし届け出られてもいません。禁止されていないことと、誰かが安全を見ていることは、まったく別の話です。

届け出た浜の監視人は、2026年4月から義務になりました

条例の第8条は、届け出た開設者が取る措置を並べています。遊泳区域を旗や浮標で示す、監視人を置く、水難救助員を置く、救命浮輪を備える、です。改正前は努力義務でしたが、令和7年の改正で2026年4月1日から「とらなければならない」に変わりました。届け出た浜には監視人を置く義務を負う者がいて、届け出ていない浜にはいません。米原は後者の側です。

米原には、法律ではないルールがあります

米原海岸には、地元団体を含めた協議会が作った利用ルールがあり、2020年7月から運用されています。市のページには17項目が並んでいますが、全部同じ体裁なので、どれも同じ強さの「決まり」に見えます。

環境省石垣自然保護官事務所の解説版には、各項目の根拠が書き添えてあります。数えると、法令が裏にあるのは7項目、残りの10項目は協議会のお願いでした。

米原海岸利用ルール17項目の法的な裏づけ。自然公園法が4項目、沖縄県漁業調整規則が2項目、海岸法が1項目、廃棄物処理法が1項目、航空法が1項目で、残る10項目は協議会のお願いにとどまる。1項目に複数の根拠が付くため合計は17を超える。
図: 石垣市「『米原海岸利用ルール』のご案内」と環境省「米原海岸利用ルール<解説版>」の記述から BLUE BREATH が分類。

サンゴを踏むほうは、法律の側です

米原一帯は西表石垣国立公園の海域公園地区に入っていて、自然公園法により、サンゴなど指定された動植物の捕獲・損傷に許可が要ります。

サンゴの損傷は自然公園法で規制されています。折れたサンゴはほとんどが海底に定着できずに死んでしまいます。 — 米原海岸利用ルール<解説版>

折れて落ちているサンゴの採捕も禁止で、死んでいるものも含みます。砂浜からサンゴのかけらや砂を持ち帰る行為も、自然公園法と海岸法の両方に触れうるとされています。旅の記念として最もやりがちな行為が、17項目の中でいちばん法的に硬い側にあります。

同じルールの中で、やすの説明が食い違っています

石垣市のページの4項目めは「銛(もり)や水中銃を使わないでください。沖縄県漁業調整規則で水中銃は禁止されています」と書いています。環境省の解説版の同じ項目は「『銛』や『水中銃』は、沖縄県では遊漁者の使用は認められていません」です。

そこで県の規則の条文に戻ると、第37条は遊漁者が使える漁具に「やす及びは具」を挙げ、除いているのは発射装置のあるものと潜水器を使う場合だけです。息を止めて潜り、発射装置のないやすを使うことは、条文の上では認められている側です。つまり解説版の「銛は認められていない」という要約は、条文と食い違っています。

ただし解説版は、そのすぐ後ろに別の理由を書いています。米原海岸利用ルールでは全ての魚介類の採取を禁止としているため、釣り竿やヤスの使用も控えてほしい、と。こちらは正確です。米原では県の規則より厳しいルールを地元が置いています。実務的な結論は変わりません。米原では突きません。ただ、その理由を「県が禁止しているから」と覚えると、他の場所で判断を間違えます。47都道府県の一覧は魚突きは違法?にあります。

離岸流のことは、市の資料が先に書いています

荒天時(警報発令時・台風接近時・通過時)は遠浅に見える米原海岸であっても高波が発生することがあります。また、米原海岸は離岸流(岸から沖への海水の強い流れ)が発生しやすく、沖の波が高い時はいつもより強い流れが発生し、救助に行くことが困難になります。 — 米原海岸利用ルール<解説版>

「救助に行くことが困難」という一文が重いです。届出のある海水浴場ではないので、救助に行く役を制度として負っている人はいません。石垣市観光交流協会の安全五原則は、浮力の確保、二人一組、器材の基本の習得、飲酒・体調不良時はやめる、泳ぐ場所の確認です。素潜りをするなら1つめとぶつかります。ライフジャケットを着ると潜れません。埋める方法は、水面で見ていてくれる人を置くこと以外にありません。

水温では時期が決まりません。石垣島北の10年平均は12か月すべて23℃以上で、最も低い2月でも23.4℃です。代わりに時期を決めるのは、風と波とハブクラゲ(注意報は6月1日〜9月30日)です。米原にクラゲ防止ネットがあるかは、公式資料で確認できませんでした。

この記事で確認できなかったこと

  • 米原海岸利用ルールの正文(協議会が策定した本体の文書。項目数を16と書く資料もある)
  • 川平湾の遊泳禁止の根拠となる文書(禁止であること自体は複数の資料で一致)
  • 底地ビーチの遊泳期間と監視員の配置(4月1日からと3月中旬からの両方の記述)

次の一歩

石垣島で自分で海に入るつもりなら、順番はこうなります。

  1. 行く浜が届出のある海水浴場かどうかを先に見てください。 沖縄県警察の一覧はPDFで公開されています。米原ビーチも川平湾も、そこには載っていません
  2. 米原に入るなら、荒天の日はやめてください。 潜るなら水面に見ていてくれる人を置いてください。海で守るのはこの3つだけです
  3. サンゴの上に立たないでください。 休憩のつもりで足を着く行為が、17項目の中でいちばん法的に硬い側にあります

行く前に、住んでいる場所の近くで教わっておくという順番もあります。下の「近くの練習会を探す」から都道府県で探せます。

本記事は各公式サイトの2026年8月21日時点の記述に基づく情報提供です。届出の状況・利用ルール・現地の掲示は変わります。行く前に必ず石垣市と環境省の公表資料で最新の内容をご確認ください。