「海で写真を撮りたいんですけど、GoProで大丈夫ですか」
旅行でシュノーケリングをして、水の中があまりにきれいだったから次は自分で撮りたい。そう思って調べ始めた人が、最初に突き当たる質問だと思う。この記事は、海で撮るための最初の1台を選ぼうとしている人に向けて書いた。
そして検索して出てくるのは「防水だから海で使えます」という説明と、順位のついたおすすめ一覧だ。どちらも間違ってはいない。ただ、いちばん効く数字が抜けている。自分が何メートル潜るのかと、そのカメラが何メートルまで保証されているのかである。
この2つを同じ軸に置くと、選び方はほとんど自動的に決まる。
持ち帰りは3つ。
- 水面から動かないなら、本体防水だけで足りる。 ハウジングは要らない
- 息を止めて潜るなら、ハウジングを前提に選ぶ。 GoProとDJIなら1万円以下で足せる
- 浮くグリップかストラップを、カメラと同時に買う。 沈めたカメラは、10mより深ければ拾いに行けない
ここから下は、その根拠。数字が続くので、急ぐ日は上の3つだけ持って店に行けばいい。
結論:本体だけで潜れるのは、10mから20m
メーカー公式の仕様を並べると、こうなる。順位ではなく、深さで並べた。
| 機種 | 種類 | 本体だけ | 専用ハウジング使用時 | ハウジング価格 |
|---|---|---|---|---|
| GoPro HERO13 Black | アクションカメラ | 10m | 60m | 8,000円(ADDIV-001) |
| Insta360 Ace Pro 2 | アクションカメラ | 12m | 60m | 8,900〜9,900円 |
| DJI Osmo Action 5 Pro | アクションカメラ | 20m | 60m | 8,910円 |
| DJI Osmo Action 6 | アクションカメラ | 20m | 60m | 12,210円 |
| Insta360 X5 | 360度カメラ | 15m | 60m | 約17,600円 |
| OM SYSTEM Tough TG-7 | 防水コンパクト | 15m | 45m | 44,000円(PT-059) |
いずれもメーカー公式サイトの表記で、2026年8月21日に確認した。ハウジング価格は税込。
🔴 ハウジングは世代で品番も値段も変わる。 8,910円の「60M防水ケース」は互換性が Osmo Action 5 Pro / 4 / 3。Osmo Action 6 用は別売りの「スキューバダイビング用アクセサリーキット」で12,210円になる(どちらも楽天のDJI公式店・2026年8月27日確認)。本体だけ新しくすると、ケースは使い回せない。
種類の列を足したのは、この5台が横並びの選択肢ではないからだ。360度カメラは全方位を写して後から画角を切り出し、防水コンパクトは光学ズームで魚に寄れる。撮れる画が違うので、決める順番は種類が先、深さが後になる。360度カメラ側の事情は水中で使う360度カメラに書いた。
10mは、いちばん普通に潜る深さと重なっている
ここが、この記事でいちばん伝えたいところになる。
水面に浮かんで下を見ているだけなら、10mでも20mでも関係がない。カメラは水面から数十センチのところにある。問題は、面白くなってきて息を止めて潜り始めたときだ。
シュノーケリング・スキンダイビング・フリーダイビングの違いで整理したとおり、スキンダイビングでよくいるのは水面からおおむね5〜10mで、そこから下はフリーダイビングの領域になる。つまり本体防水10mの機種は、初心者がいちばん普通に到達する深さと、上限がちょうど重なっている。
防水深度はメーカーが保証する上限であって、余裕を見込んだ値ではない。上限ぎりぎりで使い続ける前提は、器材の使い方として無理がある。
ハウジングを足すかどうかが、最初の分岐
深さだけで機種を選ぶ意味は、実はほとんどない。ハウジングを付ければどの機種も60mになるからだ。TG-7 だけが45mだが、素潜りで45mに届く人はごく一部になる。
だから分岐はこうなる。
- 水面から数メートルまでしか行かない … 本体だけでよい。ハウジングは要らない
- 息を止めて潜る(5m以深) … ハウジングを前提に選ぶ。GoPro と DJI は1万円以下で足せる
- すでに10m以深まで潜っている … ハウジングは選択肢ではなく必須になる
ハウジングを足すと、カメラは水を通さない箱に入る。音が入らなくなり、タッチ操作は物理ボタンに置き換わる。ハウジング越しの操作性は製品で差が出る。 OM SYSTEM は PT-059 について「コントロールダイヤルを操作し、露出補正などを行えます」と書いていて、そこを機能として挙げている。
スマートフォンでも撮れる
専用ハウジングを使えば、手持ちのスマートフォンで撮れる。深度の表記があるものだけを挙げる。
| 製品 | 対応深度 | 価格(公式) |
|---|---|---|
| DiveVolk SeaTouch 4 Max Plus | 60m | 548ドル |
| Kraken Sports KRH08 V2 | 85m | 399ドル |
値段はアクションカメラ本体と変わらない。それでもスマホを選ぶ理由があるとすれば、画質が手元の機種の性能そのままになることと、撮ったあとに機材が1つ増えないことだ。
タフネスコンパクトという選択肢
OM SYSTEM Tough TG-7 は、本体防水15m・耐衝撃2.1m・耐低温マイナス10℃を公式に謳うコンパクトカメラだ。アクションカメラと違い、光学ズームと接写に強い。別売の PT-059(44,000円)を付ければ45mまで対応し、水中用のコンバージョンレンズも足せる。
ハウジングが本体と同じくらいの価格になるので、割高に見える。ただしアクションカメラは基本的に広角一本槍なので、魚を大きく撮りたい人には別の答えになる。
なお、入口によく挙がった Nikon COOLPIX W300(防水30m)は生産終了で、後継機が無い。この分野は選択肢そのものが減っている。
深さより先に効く、3つのこと
防水深度の話は分かりやすいので先に書いたが、実際に多いのは水没ではない。
沈めたら、戻ってこない
カメラは水に沈む。手を滑らせたらそのまま落ちていき、10mより深ければ拾いに行けない。GoPro には Floaty という純正の浮くカバーがあり、フローティンググリップも各社から出ている。
防水ケースより先に買うべきものがあるとすれば、これになる。 水没は上限を超えなければ起きないが、落とすのは1回目から起きる。
水深5mを超えると、赤が消える
水は赤い光から先に吸収する。数メートル潜っただけで、赤が抜けて全体が青くかぶる。目で見ている色と、撮れた写真の色が違うのはこのためだ。
対策は赤いフィルターを付けるか、ホワイトバランスを手で合わせるかになる。GoPro のダイビング用ページに並んでいるのは、PolarPro というメーカーが作ったフィルターキットで、赤・マゼンタ・シュノーケル用の3枚が入る。カメラメーカー自身のブランドではない。 フィルターは深度と水の条件で使い分けるものとして売られており、浅いところで付けたままにすると今度は赤くかぶる。
冬は、水温より外気温で落ちる
バッテリーは低温で持ちが悪くなる。GoPro の Enduro バッテリーは動作温度をマイナス10〜35℃としている。
ただし素潜りで効くのは水中の時間より、水から上がって次に入るまでの待ち時間のほうだ。冬に潜るなら、予備を1本持つほうが確実になる。
買わずに済ませる
年に1〜2回しか海に行かないなら、レンタルで足りる。国内では水中カメラを扱うレンタルサービスがあり、シェアカメには防水カメラの専用ページがある。
1回借りて、自分が本当に撮るかどうかを確かめてから買う。器材を減らすほうが、水中では自由になる。
この記事で確認できなかったこと
正直に書いておく。
- 各機種の本体単体の税込価格。 GoPro・DJI ともにセット構成での表示が中心で、公式サイト上に単体価格の記載を見つけられなかった。本文で価格を出したのはハウジングだけにしてある
- 純正赤フィルターの公式価格と、DJI・Insta360・OM SYSTEM での有無。 取扱店の記載しか見つからなかった
- ハウジング越しのボタン操作性。 水圧でボタンが押しにくくなるという話は現場でよく聞くが、それをメーカーが公式に認めた記述は OM SYSTEM の操作性についての記載以外に見つからなかった
- 各機種を実際に持って潜った比較。 この記事はすべて公式仕様から書いており、実機での検証はしていない
次の一歩
カメラを買う前に、順番として先に決まることが3つあります。
- 自分が何メートル潜るのかを、先に決めてください。 水面から動かないなら本体防水だけで足ります。息を止めて潜るつもりなら、ハウジングを前提に選んでください。ここが決まらないうちは、機種を比べても答えは出ません
- 浮くグリップかストラップを、カメラと同時に買ってください。 水没は上限を超えなければ起きませんが、落とすのは1回目から起きます
- 深く潜って撮りたいなら、潜れるようになるのが先です。 撮影は片手がふさがるぶんだけ余裕を削ります。下の「近くの練習会を探す」から、自分の都道府県で見てくれる人がいる場所を探せます
海で守ることは安全の約束(3つ)の3つだけです。それが揃っていれば、あとは撮りたいだけ撮って構いません。
本記事は各メーカーの公開仕様に基づく情報提供です。防水深度はメーカーが保証する上限であり、経年劣化・パッキンの状態・使用条件によって実際の耐水性は変わります。潜水中の撮影は、安全確保をひとりで兼ねられなくなる行為です。必ずバディ(一緒に潜り、互いを水面から見張り合う相手)と行い、撮影に気を取られて水面から目を離さないでください。
