「70歳の親を沖縄のシュノーケリングに連れて行きたいのですが、年齢の上限はありますか」
この記事は、そう調べている方に向けて書きました。答えから言います。法律にも指導団体の統一基準にも、上限の年齢はありません。あるのは店ごとの線で、61歳で断る店から75歳まで受ける店まで開きがあります。
そして海上保安庁の数字は、年齢より先に「何をしていて亡くなったか」を指しています。沖縄で2025年に亡くなった50歳以上の11人のうち、10人がスノーケリング中でした。
持ち帰りは3つです。
- 上限は店で決まります。 予約の前に、その店の年齢の線と診断書の要否を公式サイトで確認してください
- 45歳を超えると、診断書の質問票に分岐があります。 喫煙・高血圧・高コレステロールのどれかがあれば医師の評価が要ります
- ライフジャケットを着て、見ていてくれる人と入ってください。 沖縄で亡くなった人の87%が着ていませんでした
店の上限は61歳から75歳まで
沖縄と石垣島の店の参加条件を、公式サイトの原文で並べました。
| 店 | 年齢の線 | 診断書 |
|---|---|---|
| ライズ石垣島(1日ツアー) | 61歳以上は参加不可 | 記載なし |
| SeaChan石垣島 | 0〜65歳(66歳〜要相談)のコースと3〜65歳のコース | 記載なし |
| しまたび(石垣島) | 対象年齢3〜65歳 | 記載なし |
| ナチュラルブルー(沖縄本島) | 66歳以上はシュノーケル不可 | 記載なし |
| 石垣島トラベルセンター | 5歳〜69歳 | 記載なし |
| ラピス(沖縄本島) | 上限の記載なし | 60歳以上は医師の診断書 |
| シンプリーブルー(沖縄本島) | 「年齢制限はありません」 | 60歳以上は診断書(費用は4〜5千円が目安) |
| JTB 海ピクニック&シュノーケル | 2歳〜75歳 | 記載なし |
8つを並べると、上限は61歳から75歳まで、14歳の開きがあります。同じ沖縄で、同じシュノーケリングです。国の法令にも指導団体の統一基準にも年齢の上限はなく、店が自分の保険と経験で線を引いています。子どもの側の下限も同じ構造で、何歳から?に書きました。
シンプリーブルーは参加者の7割が60歳以上だと書き、こう続けています。
先日は80歳と79歳のご夫婦の水中案内させて頂きました — シンプリーブルー
45歳で変わるのは「質問票」です
診断書の書式は、指導団体が共通で使う「ダイバーメディカル 参加者チェックシート」(DAN Japan掲載・2022年版)です。質問2が「45歳を超えています」で、はいならB欄へ進みます。
B欄は4つです。喫煙、高コレステロール、高血圧、50歳未満で心疾患や脳卒中で亡くなった近親者。1つでも「はい」なら医師の評価が要ります。45歳を超えただけでは要りません。年齢そのものではなく、年齢と危険因子の組み合わせで線を引く設計です。
海保の数字は「年齢」より「何をしていたか」を指しています
第十一管区海上保安本部(沖縄)は2025年、50歳以上向けの資料を出しました。2025年1月1日から7月27日までの50歳以上の事故者は23人で、全体の43%です。
死者・行方不明者11人のうち、スノーケリング中の事故者は10人で全体の91%を占めている — 第十一管区海上保安本部
過去5年(2020〜2024年)では、マリンレジャーの死者・行方不明者123人のうち50歳以上が82人で67%です。その82人を活動別に見ると、スノーケリング中が33人で最も多く、ダイビング中18人、遊泳中11人と続きます。
同じ管区の2026年の資料に、もう1つ数字があります。スノーケリング中と遊泳中の死者・行方不明者82人(2021〜2025年)のうち、ライフジャケットを着ていなかった人が71人で87%、50歳以上が58人で71%でした。年齢は変えられませんが、着るかどうかは変えられます。
全国の数字も同じ向きです
警察庁の「令和7年夏期における水難の概況」では、2025年7〜8月の死者・行方不明者241人のうち65歳以上が108人で44.8%でした。ただしこの統計は川や用水路を含む水難全体で、年齢とシュノーケリングの掛け合わせはありません。沖縄の海保の数字と全国の警察の数字は別の統計なので、混ぜて読まないでください。
海保が50歳以上に求めている5つ
資料の最後に、50歳以上向けの5か条があります。原文の見出しのままです。
- 「今日は大丈夫?」自分の体調と向き合ってから海へ
- 「伝えて安心」体調や持病は遠慮せず、共有を
- 「使える」にしてから使う。器材の確認と練習を
- 「命を守る」ライフジャケットは必ず着用を
- 「ひとりにならない」海では声掛けと見守り合いを
2と3は、店の年齢の線より前に自分でできることです。持病と薬はガイドに伝えてください。マスクとスノーケルは浜で一度付けて、水面で呼吸してから沖へ出てください。なぜそれが効くのかはなぜ溺れるのかに書きました。
この記事で確認できなかったこと
- 宮古島の店の年齢の線(公式サイトで原文を確認できた店がありませんでした)
- 日本高気圧環境・潜水医学会やDAN Japanが高齢者のシュノーケリングについて書いた一次文書
- PADI公式サイト上の診断書PDF(開けず。DAN Japan掲載の同じ書式で確認しました)
次の一歩
- 店を決める前に、公式サイトの「参加条件」を読んでください。 上限の年齢と、診断書が要る年齢は店で違います
- 45歳を超えていて、喫煙・高血圧・高コレステロールのどれかがあるなら、先にかかりつけ医でチェックシートに署名をもらってください。 4〜5千円が目安です
- 当日はライフジャケットを着て、2人1組で入ってください。 沖縄で亡くなった人の87%が着ていませんでした
持ち物はシュノーケリングの持ち物に、海で守るのはこの3つだけにまとめています。
本記事は各事業者・DAN Japan・第十一管区海上保安本部・警察庁の2026年8月22日時点の公開情報に基づく情報提供です。年齢の線と診断書の要否は店ごとに違い、年によって変わります。予約の前に必ず各店へ直接ご確認ください。
