「川でヤマメを見つけて、手でそっとつかんでみました。これって遊漁券がいるんでしょうか」
この記事は、川で素潜りをしながら魚や川エビを手づかみで採りたい方に向けて書いています。
答えから言います。見るだけなら遊漁券は要りません。採るなら遊漁承認証(遊漁券)が要ります。 ただし遊漁券を買っても、「手づかみ」がそのまま認められた漁法とは限りません。
持ち帰りは3つです。
- 「採る」瞬間に遊漁規則の世界に入ります。 内水面(川や湖)の漁業権は第五種共同漁業権と呼ばれ、あゆや川エビを採るなら遊漁料を払って遊漁券を得るのが基本です。
- 遊漁券があっても、手づかみが認められた漁法とは限りません。 相模川・多摩川・長良川の規則は竿釣りやたも網を挙げるだけで、徒手採捕(手づかみ)を載せていません。
- 仁淀川は手づかみを認めますが、マスクは禁止です。 同じ規則が「水中眼鏡を使用して遊漁を行ってはならない」と定めているため、マスクを着けた時点で違反になります。
県の潜水器・水中眼鏡規制は、他の記事に譲ります
神奈川・山梨・和歌山が内水面でどう潜水器や水中眼鏡を規制しているかは、川で素潜りはしていい?にまとめています。ここでは「採る」場面、つまり遊漁券と漁法の関係に絞って見ていきます。
4つの漁協で手づかみとマスクの扱いは違う
関東の相模川・多摩川、東海の長良川、四国の仁淀川で、公式の遊漁規則から手づかみとマスクの扱いを確認しました。
| 漁協 | 認めている漁法 | 手づかみ(徒手採捕) | 水中眼鏡・マスク | 遊漁料の例 |
|---|---|---|---|---|
| 相模川漁連 | 竿釣・投網・もじり(うなぎ・手長えび限定) | 規則に記載なし | 確認できず | あゆ日券1,500円 |
| 多摩川・恩方漁協 | 手釣・竿釣のみ | 規則に記載なし | 確認できず | 年券4,500円 |
| 長良川中央漁協 | 手釣・竿釣・たも網(口径40cm以内) | 規則に記載なし | 確認できず | あゆ日券3,000円 |
| 仁淀川漁協 | 徒手採捕・さお漁・すくい網等 | 認める(あゆ・もくずがに) | 使用禁止(規則第3条2項) | あゆ日券2,000円 |
「規則に記載なし」は、その漁協が認めた漁法の列挙に徒手採捕が無いという意味です。3つの規則とも、列挙以外の漁法を禁じています。潜る前に、その川の漁協に確認してください。
手づかみが漁法に無い=認められていない漁法です
相模川漁連・多摩川漁協・長良川中央漁協の遊漁規則は、遊漁で使ってよい漁具・漁法を条文で列挙し、それ以外を禁止する形を取っています。徒手採捕はこの列挙に入っていません。つまり遊漁券を持っていても、手でつかんで採る行為自体が規則違反になります。
仁淀川漁協は逆に、徒手採捕をあゆやもくずがにの正規の漁法として認め、遊漁料も定めています。ただし同じ規則が水中眼鏡の使用を禁じているため、マスクを着けて川に入った時点で条件を満たさなくなります。
遊漁料は何のための費用ですか
水産庁長官通知は、遊漁料の性格を次のように説明しています。遊漁券は漁業権を持つ漁協に払う対価であって、「何をどう採ってもいい許可証」ではないと読めます。無許可で採ると漁業権侵害になり、漁業法第197条により100万円以下の罰金です(告訴が要件の親告罪)。
遊漁料は、漁業権の侵害に対して漁業者が受け取る受忍料の性格を有している — 水産庁長官通知(令和4年7月26日付4水管第1166号、長野県公表資料より)
うなぎの稚魚とサケは、遊漁券があっても採れません
うなぎの稚魚(全長13センチメートル以下)は漁業法施行規則第41条で「特定水産動植物」に指定されています。無許可の採捕は全国どこでも3年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金です。サケは水産資源保護法第28条で内水面での採捕そのものが禁止されており、違反すれば同法第43条により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。この2種は遊漁券があっても対象外という別格の扱いです。全国の罰則の一覧は密漁の罰則はいくら?にまとめています。
水産庁の資料によると、令和6年の内水面密漁検挙41件のうち、徒手採捕(手づかみ)によるものは3件でした。件数として最も多いのは釣り(11件)ですが、手づかみでも検挙対象になっています。
子ども連れで川に入るときの注意は川で子どもとシュノーケリングにまとめています。潜る前の共通の注意は安全の原則にあります。
この記事で確認できなかったこと
- 四万十川漁協の遊漁規則の原文。
- 仁淀川で水中眼鏡の使用が見つかった場合の実際の措置。
- 手づかみで検挙された3件がどの河川で起きたか。
次の一歩
- 自分が潜る川の名前で「◯◯漁協 遊漁規則」を検索し、遊漁料や認められた漁法を確認してください。 上の表は出発点で、正本は各漁協の規則です。
- 手づかみで採りたいなら、規則に「徒手採捕」と明記されているか、水中眼鏡の使用が禁止されていないかを両方確認してください。 片方だけでは合法になりません。
- 判断がつかなければ、その川の漁業協同組合に直接問い合わせてください。 遊漁券の窓口も漁協です。
本記事は2026年8月23日時点で公開されている法令・規則・行政資料に基づく情報提供であり、法律の助言ではありません。個別の事案については、都道府県の水産担当課、漁業協同組合、または弁護士にご相談ください。
