「宮古島で、自分でシュノーケリングをしたいんですが、どの浜がいいですか」

そう調べると、中の島ビーチ、吉野海岸、新城海岸あたりが並んで出てきます。どれも駐車場があり、レンタルの店があり、行けば入れます。ただ、そこが誰の管理下にあるのかは、どのページにも書かれていません。

この記事は、ツアーではなく自分で車を停めて入ろうと考えている方に向けて書きました。答えから言います。宮古島市が届け出ている海水浴場は3か所だけで、名前をよく見る浜のほとんどはそこに入っていません。 市自身が観光ページで「それらの海岸は、海水浴場ではありません」と書いています。

持ち帰りは3つです。

  1. 行く浜が県警の届出一覧に載っているかを、家を出る前に見てください。 宮古島市で載っているのは3か所です
  2. 載っていない浜に入るなら、監視の役は自分たちで持ってください。 誰かが見ていてくれる前提が成り立ちません
  3. 1回目はガイドを付ける、という選び方があります。 届け出た事業者は、同じ海に入っても背負っているものが違います

市が、自分の観光ページで否定しています

宮古島市の観光ページには11か所の浜が写真つきで並んでいて、そのすぐ下に注意事項があります。

宮古島市には、手つかずの美しい自然が残っている海岸が数多くありますが、それらの海岸は、海水浴場ではありません。よって、水難事故は、すべて利用者の責任となりますので、ご利用の際には危険生物等への注意および深み・潮の流れ等、安全には十分注意してください。 — 宮古島市

宮古島観光協会も「宮古島のビーチは他の島と違って監視員のいるビーチはほとんどありません」と書いています。観光を売る側が自分でこう書くのは珍しいです。ただ、これは謙遜でも保険でもありません。「海水浴場」は、沖縄県の条例に定義がある言葉です。

「海水浴場」は条例上の区分です

沖縄県の「水難事故の防止及び遊泳者等の安全の確保等に関する条例」は、海水浴場を、遊泳者の利便のための施設と水難事故防止のための設備を設けて環境を整備した海域、と定義しています。開設する者は公安委員会へ届け出ます。つまり海水浴場とは「きれいな砂浜」ではなく、誰かが届け出て、事故防止の設備を置いた区域です。

届け出た開設者が取る措置は第8条にあります。遊泳区域の標示、監視人、水難救助員、救命浮輪、事故の通報。改正前は努力義務でしたが、2026年4月1日から義務になりました。届け出た浜には監視人を置く義務を負う者がいて、届け出ていない浜にはいません。

数えると、宮古島市の海水浴場は3か所でした

沖縄県警察が公表する届出事業所の一覧(令和8年6月30日現在)を数えると、海水浴場は県全体で70か所、宮古島市に所在するのは3件でした。みやこサンセットビーチ、デイズビーチ伊良部、宮古島東急ホテル&リゾーツ(与那覇前浜に面したホテルの区域)です。市の観光ページが挙げる11か所のうち、同じ名前で載っているのはサンセットビーチだけでした。砂山ビーチも、新城海岸も、吉野海岸も、八重干瀬もありません。

沖縄県公安委員会への届出数を自治体別に示した図。海水浴場として届出があるのは宮古島市3か所、石垣市8か所、竹富町5か所、沖縄県全体で70か所。一方スノーケリング業の届出は宮古島市281事業所、石垣市268事業所、竹富町96事業所、県全体で1,450事業所。横軸は平方根目盛。
図: 沖縄県警察「届出事業所一覧(令和8年6月30日現在)」から BLUE BREATH が集計。

ところが、ガイドを付ける側には義務があります

同じ条例は、スノーケリング業を届出制にしています(2021年5月から)。届け出た業者には、ガイドを置く、器具を点検する、技術が未熟な人にはさせない、名簿を備える、救命胴衣かウェットスーツを着用させる(2026年4月から)、事故を知ったら直ちに警察に通報する、が義務です。無届の営業は10万円以下の罰金です。

同じ一覧で、スノーケリング業の届出は県全体で1,450事業所、宮古島市に281事業所ありました。海水浴場が3か所しかない島に、ガイドの事業所は281あります。宮古島観光協会が「ツアーへの参加を強く推奨します」と書く理由は、制度の側から説明がつきます。 ツアーに申し込むと、条例上の義務を負った人が水面に立ちます。自分で入ると、その役を負う人はどこにもいません。

事故は、いま増えている途中です

沖縄のマリンレジャー人身事故者数の推移。令和3年76人、令和4年80人、令和5年93人、令和6年109人、令和7年111人と5年続けて増えている。令和7年は統計開始以降の最多と並ぶ。宮古島市の搬送人員も令和5年10人から令和6年21人へ倍増した。
図: 第十一管区海上保安本部「マリンレジャーに伴う人身事故防止に向けた令和8年の取組について」および宮古島市消防本部の公表値から BLUE BREATH が作図。令和7年は速報値。

沖縄県のマリンレジャーの事故者は、2021年の76人から2025年の111人まで5年続けて増え、111人は統計開始以来の最多に並びました。宮古島市消防本部も、2024年の水難事故の搬送人員が21人で前年の10人から2倍超になったと書いています。

2024年10月7日には、伊良部島の中の島ビーチで、沖合およそ180mでスキンダイビングをしていた38歳の男性が海底に沈んでいるところを友人が見つけ、死亡が確認されました。この浜は、市の観光ページにも県警の一覧にも載っていません。載っていないことは危険の証明ではありませんが、何かあったときに動く役を、制度として誰かに割り当ててはいない場所です。市の「シュノーケルの安全な使い方」のページは「できる限り1人で泳がず、2人以上で行動を」と書いています。

水温では、行く時期を選べません

宮古島南の10年平均は、12か月すべて23℃以上でした。最も低い2月でも23.2℃で、熊野灘・串本の6月と同じ値です。水温は時期を絞る材料になりません。絞るのは風と波、ハブクラゲの時期、人の多さです。突く話は沖縄本島と同じ規則が効き、発射装置のないやすは県の規則で認められています。ただし現地の施設ルールで禁じている場所があります(青の洞窟)。

「おすすめの浜」は出しません

この媒体は、行っていない海に順位をつけません。代わりに、自分で判別できる線を1本だけ置きます。

その浜が、県警の届出一覧に載っているかどうかです。

届出のある海水浴場には監視人の配置義務があり、2026年4月1日からは努力義務ではなく義務になりました。宮古島市で届出があるのは3か所です。市の観光ページが挙げる11か所とは一致しません。

砂山ビーチも、新城海岸も、吉野海岸も、名前はよく出ますが一覧にはありません。監視の義務を負う人がいない海に入る、ということになります。

この記事で確認できなかったこと

  • 中の島ビーチの管理者(公式の資料に到達できず)
  • 市が名前を挙げている浜の、遊泳区域や禁止事項の公式の掲示内容
  • ハブクラゲ侵入防止ネットの設置状況(市内のどの浜にあるかの公式一覧)

次の一歩

宮古島で自分で海に入るつもりなら、順番はこうなります。

  1. 行く浜が届出のある海水浴場かどうかを、先に見てください。 載っていなければ、監視の役を負っている人はいません
  2. 載っていない浜に入るなら、その役を人で埋めてください。 水面から見ていてくれる人を置いてください。海で守るのはこの3つだけです
  3. 1回目はツアーを使うという選び方があります。 届け出た事業者はガイドを置き、器具を点検し、ライフジャケットを着せ、事故時に通報する義務を負っています(泳げない方向けの記事)。日付で催行している事業者を並べるなら宮古島のシュノーケリング一覧のような予約サイトが早いですが、そこに出た名前は上の届出一覧で引き直してください。281事業所のうちどれかは、予約サイトの並び順では分かりません

旅先で初めて試すより、通える場所で身につけてから持っていくほうが確実です。下の「近くの練習会を探す」から都道府県で探せます。

本記事は各公式サイトの2026年8月21日時点の記述に基づく情報提供です。届出の状況・現地のルールは変わります。行く前に必ず宮古島市と沖縄県警察の公表資料で最新の内容をご確認ください。