「素潜りができて、初心者でも安全に入れる海はどこですか」
そう調べていくと、静岡県南伊豆町のヒリゾ浜という名前に必ず行き当たります。透明度が高いこと、渡船でしか行けないこと、夏しか開いていないこと。そこまではどのページにも書いてあります。
この記事は、ツアーに申し込むのではなく自分で渡船に乗って潜ろうと考えている方に向けて書きました。答えから言います。水面で泳ぐ、数メートル潜る、ここまでなら何も要りません。線が引かれているのは10m以上を繰り返す潜水で、そちらは事前の届け出が要ります。 そのことがどこにも出てこないまま「初心者におすすめの絶景スポット」として紹介されています。
持ち帰りは3つです。
- 線があるのは10m以上を繰り返す潜水。運営側は遠慮を求め、行うなら事前の届け出
- 行ける日を決めているのは水温ではなく渡船。2025年は6月28日から9月28日まで
- 潜るならライフジャケットを外すことになる。それを埋められるのは、水面で見ていてくれる人だけ
深く潜るのは別扱いです
シュノーケリングと素潜りそのものは、禁止されていません。運営側のサイトには素潜りの注意を説明したページがあり、フィンの使い方まで案内しています。禁止しているものにやり方は書きません。
問題は深さです。フリーダイビングについて書かれたページに、こうあります。
10m以上の深い潜水を繰り返すフリーダイビングでは、国内でも減圧症が発生した事例が報告されています — 仲木へ行こうよ SNORKELING WORLD
同じページには、2024年に減圧症が疑われる症状で救急搬送された事例があったことと、深場での反復潜水は「ご遠慮いただいております」という方針が書かれています。深く潜る可能性がある場合は、指導者またはツアー責任者による事前の届け出を求めていて、様式まで用意されています。
線はここにあります
- 水面で泳ぐ、数メートル潜る … 何も要りません
- 10m以上を繰り返し潜る … 遠慮を求められています。行うなら事前の届け出
素潜りの練習場所を探してここに辿り着いた人は、この線を知らずに行くことになります。現地で止められてから知るより、先に知っておくほうがいいです。減圧症は、繰り返し深く潜ることで体に窒素が溜まっていく現象で、1回の潜水では通常問題になりません。ブラックアウトとは別の話です。
行ける期間を決めているのは、水温ではなく船です
ヒリゾ浜には陸から歩いて行けません。渡船が出ている期間だけ入れる浜です。
水温だけで見れば、20℃を超えるのは6月から11月まで6か月あります。船が出るのは、そのうち3か月ほどです。9月末で終わるのは水が冷たくなるからではありません。 10月の月平均は24.6℃で、7月(26.0℃)とほとんど変わりません。
2025年シーズンは6月28日から9月28日まで、運航時間は8時30分から16時まで(繁忙期は8時から)でした。2026年の期間は公式サイトで確認できなかったので、行く前に受付へ電話してください。
| 内容 | |
|---|---|
| 行き方 | 渡船のみ。徒歩ルートは無い |
| 渡船料金 | 公式サイト上に金額の記載を見つけられませんでした |
| 駐車場 | 第1〜第3が1日2,000円、第4・第5が1日1,000円。7月12日から9月末頃まで有料 |
| 浜の設備 | 南伊豆町の公式ページに「トイレも水道もない自然のまま」とあります |
| 監視 | ライフセーバーが海岸と海上の安全管理を行い、監視船と監視台からも見守っているとの記載 |
渡船料金は、Web上に2つの違う数字が流通していて、どちらも公式サイトで裏付けが取れませんでした。この記事では金額を書いていません。
ライフジャケットは「お願い」です
よくある質問のページは、安全のためライフジャケットの着用をお願いしている、と書いています。「必須」「義務」という言葉は使われていません。
ただし素潜りをするなら、話が変わります。ライフジャケットを着ると潜れません。潜るという選択は、運営が推奨している安全装備を外すという選択とセットです。 見ていてくれる人を水面に置く以外に、これを埋める方法はありません。
魚は突けません
静岡県の遊漁のルールでは、使ってよい漁具は「やす」ですが、水中眼鏡を利用する場合は除かれています。この括弧が効いていて、マスクを着けて突く行為は除外されています。 あわび・なまこ・うなぎの稚魚は漁業法で採捕そのものが禁止です。現地のサイトも「海の生き物は採らず、観察するだけに」と求めています。県ごとの一覧は魚突きは違法?にあります。
静岡で、実習に使われている場所
「安全に潜れる場所」を探しているなら、スクールが海洋実習に使っている場所という探し方があります。公式サイトに実習地を明記しているのは、稲取マリンスポーツセンター(東伊豆・自社ポイントと屋外温水プール)、NAGI Freediving(大瀬崎ほか・4〜10月)、TRUE NORTH(ヒリゾ浜でのスキンダイビングツアー1泊2日・税込28,600円に渡船代まで含む)です。いずれも2026年8月21日時点の記述で、申し込む前に確認してください。
この記事で確認できなかったこと
- 渡船の正確な料金と、2026年シーズンの運航期間
- 中木港側(乗り場)のトイレ・シャワー・更衣室の有無
- 届け出の実際の運用(どこに出すか、何日前までか、断られることがあるか)
次の一歩
ヒリゾ浜に行くつもりなら、順番はこうなります。
- まず、渡船の受付に電話してください。 料金も今年の期間も、公式サイトでは確認できませんでした。深く潜る予定があるなら、届け出のことも一緒に聞いてください
- 潜るなら、見ていてくれる人を水面に置いてください。 ライフジャケットを外すなら、それを埋めるものが要ります。海で守るのはこの3つだけです
- 深さの練習をする場所としては、ここを当てにしないでください。 10m以上の反復潜水は遠慮を求められている浜です
練習場所は、下の「近くの練習会を探す」から都道府県で探せます。この3つを押さえておけば、ヒリゾ浜は透明度だけが評判になっている理由の分かる海です。
本記事は各公式サイトの2026年8月21日時点の記述に基づく情報提供です。運航期間・料金・現地のルールは年によって変わります。行く前に必ず渡船の受付へ直接ご確認ください。
