「沖縄のシュノーケリングツアー、検索すると何百も出てくるんですけど、どれを選べばいいんですか」
旅行の計画で、たぶんいちばん時間を使うところです。同じ青の洞窟のツアーが何十社も並んでいて、写真も値段も似ています。この記事は、口コミの星の数で決めるしかないのかと思った方、年に1回か2回、旅行先で海に入る方に向けて書きました。
答えから言います。口コミより先に見るものが2つあります。どちらも沖縄県警察が公表している一覧で、誰でも開けます。 1つは「届出のある業者かどうか」、もう1つは「安全対策の優良指定(マル優)を受けているかどうか」です。
持ち帰りは3つです。
- 届出のある業者かどうかは、県警のPDFで名前を検索すれば分かります。 沖縄ではスノーケリング業の届出が義務で、無届は罰金です
- マル優は、1,463社のうち40社だけです。 あれば加点、無くても減点ではありません
- 申し込むときは3つを見てください。 健康状態を聞かれるか、ライフジャケットがあるか、ガイドが一緒に海に入るか
届出のある業者かどうかは、自分で確認できます
沖縄県の「水難事故の防止及び遊泳者等の安全の確保等に関する条例」で、スノーケリング業を営む人は県公安委員会への届出が義務です。届け出ずに営業すると10万円以下の罰金です。
その一覧を沖縄県警察がサイトで公開しています。2026年7月31日現在の一覧を数えると、スノーケリング業は届出番号が1,463番まで、潜水業は1,169番、海水浴場は71か所でした。
一覧の開き方
- 沖縄県警察のサイトで「届出業者一覧」のページを開き、「5. スノーケリング業」のPDFを開く
- PDFの検索に、予約しようとしている業者名を入れる。パソコンならCtrl+F(Macは⌘+F)。iPhoneのSafariなら共有ボタンから「ページを検索」です
- 事業所名と所在地が出てくれば、届出のある業者です
この一覧は市町村順でも五十音順でもなく、届出番号の順です。目で探すと見つかりません。必ず検索を使ってください。予約サイトの名前と届出の事業所名が違うこともあります。見つからないときは、会社概要の正式名称で検索し直してください。それでも出なければ、業者に「県への届出は出していますか」と聞いて構いません。出している業者なら、即答できます。
一段上の印、「マル優」は40社だけです
届出は最低線です。その上に、もう1つ印があります。同じ条例の「安全対策優良海域レジャー提供業者」、通称マル優です。届出業者のうち安全対策が基準に合っていると認められた業者を、公安委員会が1年以内の期間を定めて指定し、標示を交付します。
2026年7月31日現在のスノーケリング業のマル優一覧には、40の事業所がありました。恩納村が14で最多、名護市が6、那覇市が5、うるま市・石垣市・竹富町・宮古島市・今帰仁村が2ずつです。届出のある1,463事業所に対して、2.7%です。40社の名前は「県警が安全対策優良と認めた業者は40社」に一覧にしました。
「無いから危ない」ではありません
マル優は、業者が自分から申し出て審査を受ける任意の制度です。指定が無い業者の大半は、危ないのではなく、申し出ていないだけです。だから「あれば加点」で、「無ければ減点」ではありません。加点としての価値は十分です。一覧に載っている業者は、少なくとも直近1年以内に県の基準で安全対策を見られています。
制度と現地で、食い違っていること
「現地でマル優の標示を探せばいい」と思った方がいると思います。そこに1つ、ずれがあります。
マル優の標示は「事業所の見やすい場所に掲示する」決まりです。ところがツアーの多くは、ビーチで現地集合か、ホテル送迎です。お客は事業所に行きません。これは県警自身が書いていることです。
利用者と現地集合したり、ホテルから利用者を直接送迎している事業者の場合、利用者がマル優標示を目にする機会がありませんでした — 沖縄県警察本部 水上安全対策係(2026年1月の案内)
そこで県警は、業者がWebサイトに貼れる「Web版標示」の交付を始めました。色は毎年変わり、2026年は青色です。探す場所は現地の壁ではなく、業者のWebサイトです。それも画像を信じず、県警の一覧PDFで名前を引いて確かめてください。画像だけあって一覧に無ければ、期限切れか、別の何かです。
申し込むときに見る、3つのこと
最後に、申し込みの画面で見るものを3つに絞ります。3つとも、条例の第23条が業者に課している義務から来ています。
1. 健康状態や経験を聞かれるか
業者は、お客の経験・最後にした日・既往症・当日の健康状態を名簿に記録し、安全にできないおそれがある人を参加させないことが義務です。申込画面で持病や経験を細かく聞かれるのは、この義務のためです。何も聞かずに「誰でも参加OK」とだけ書いてある業者は、この義務をどう果たしているのか分かりません。
2. ライフジャケットかウェットスーツを着せてくれるか
業者はお客に救命胴衣またはウェットスーツを着用させることが義務です。潜る場合だけ、2人1組で見合うことと浮き具を置くことに替えられます。泳ぎに自信のない方は「浮いて見るだけにしたい」と先に伝えてください。詳しくは泳げない人のシュノーケリングに書きました。
3. ガイドが一緒に海に入るか
第23条の最初の項目は、自ら同伴し、案内し、監視し、指導する者を置くことです。大事なのは「同伴」の語で、船の上や浜から見ているだけでは、この形になりません。「ガイドが一緒に泳ぎます」とあるか、人数に対してガイドが何人付くかを見てください。
いつ行くかは、水温では決まりません
「沖縄はいつからシュノーケリングできますか」とよく聞かれます。水温だけで言えば、答えは一年中です。
気象庁の日別海面水温から2016〜2025年の10年分を月ごとに平均すると、沖縄本島北部の海は12か月すべて20℃を超えていました。いちばん低い2月でも21.8℃、8月は29.7℃です。本州の海は20℃を超える月が6か月ほどしかないので、ここが決定的に違います。
決めているのは水温ではなく、風と業者の営業です。冬は北風が続いて西海岸が荒れる日が増え、ツアーそのものが出ません。届出のある海水浴場が監視人を置く期間も、夏に集中します。「入れない時期」があるのではなく、「出ない日」が冬に増える、というのが実態に近いです。
だから予定を立てるときは、水温を調べるのではなく、行く時期に営業している業者を先に探してください。営業していれば、水温は問題になりません。日付で絞って営業している業者を並べるなら、沖縄県のシュノーケリング一覧のような予約サイトが早いです。ただし、そこに出る並び順を決めているのは予約サイトの都合で、届出やマル優ではありません。見つけた業者名は、上の県警の一覧で引き直してください。
自分たちだけで入るなら
ツアーを使わず、レンタルで自分たちだけで入ることもできます。禁止ではありません。ただ、上の3つの義務を負う人が、誰もいなくなります。海上保安庁の集計では、沖縄のマリンレジャー事故は観光客が7割以上を占め、2025年の事故者111人は統計開始以来の最多でした。入る浜が届出のある海水浴場かどうかは、沖縄県警察の海水浴場 届出事業所一覧で確かめてください。県全体で70か所しかありません。届出のある海水浴場には、2026年4月から監視人と水難救助員を置くことが義務になりました。届出のない浜には、その役の人がいません。
この記事で確認できなかったこと
- マル優の指定基準の中身(公安委員会規則の条文には到達できず)
- ツアー参加者と個人で入った人の、事故の内訳(海保の資料はツアー参加の有無で分けていない)
- 料金の相場(裏の取れる一次資料が無い)
次の一歩
口コミの星より先に、県警の一覧です。
- 予約する前に、県警の届出一覧PDFで業者名を検索してください。 一覧は番号順なので、目で探さず検索してください
- マル優の一覧にもあれば加点してください。 無くても減点ではありません。サイトに青い標示があれば、一覧で本物か確かめてください
- 申込画面で、健康状態を聞かれるか・ライフジャケットがあるか・ガイドが一緒に入るか、を見てください。 見つからなければ、聞いてください。3つとも業者の義務です
ツアーの日の海で守ることは、いつでも3つだけです。ガイドがいても、あなたの隣の人を見るのは、あなたです。
本記事は沖縄県・沖縄県警察・海上保安庁の2026年8月22日時点の公開資料に基づく情報提供です。届出一覧は更新されます。予約前に最新の一覧でご確認ください。
