「防波堤の先で、誰かが手を振っています。溺れているのか、ただ手を振っているだけなのか分かりません。何番に電話すればいいのでしょうか」

この記事は、海で事故に遭遇したり見かけたりしたときに、どこへ通報すればいいか迷っている方に向けて書いています。

答えから言います。海上の事故は118番です。 118番は海上保安庁の運用司令センター(通報を受けて出動を指示する部門)に直結する緊急通報用電話番号です。海水浴場の中で溺れている人を見つけたら、まず監視員やライフセーバーに助けを求めてください。海水浴場の外なら、118番・110番・119番のどれに掛けてもかまいません。

持ち帰りは3つです。

  1. 海水浴場の中と外で、頼る先が変わります。 中は監視員・ライフセーバー、外は118・110・119のどれでもよいです。
  2. 伝えるのは「いつ・どこで・何があったか」です。 スマートフォンのGPS機能をオンにしておくと、位置が正確に伝わります。
  3. 118番の99.1%は間違い電話です。 それでも遠慮せず、必要なときは迷わずかけてください。

海水浴場の中と外で、通報先は変わります

海上保安庁とこども家庭庁の案内をもとに、場面ごとの通報先を整理しました。

場面 通報先 伝えること
海上で事件・事故を目撃した 118番(海上保安庁) いつ・どこで・何があったか
海水浴場の中で溺れている人を見た 監視員・ライフセーバー 見失わないよう注意しながら助けを求める
海水浴場の外で溺れている人を見た 118番・110番・119番のいずれか いつ・どこで・何があったか
聴覚や発話に障がいがある NET118(スマートフォンの入力操作・事前登録制) 状況の入力
映像で状況を伝えたい Live118(2025年1月18日運用開始) 映像と音声
海の事故で118番・110番・119番・監視員のどれに連絡するかを5つの場面で示した一覧。海水浴場の中は監視員へ、外や海上の事故は118・110・119のいずれでもよい。
図: 海上保安庁「118番の通報要領」・こども家庭庁「子どもの水の事故を防ぐために」からBLUE BREATHが分類(2026年8月23日時点)。

伝えるのは「いつ・どこで・何が」です

海上保安庁は118番の通報要領で「いつ」「どこで」「なにがあった」を簡潔に伝えるよう案内しています。スマートフォンのGPS機能をオンにしておくと、正確な現場の位置を海上保安庁に伝えられます(政府広報オンライン)。パニックになりやすい場面ですが、位置と状況さえ伝われば、あとは海上保安官が聞き取ってくれます。

118番の9割以上は、間違い電話です

海上保安庁の118番受付実績によると、2000年5月から2024年4月までの累計は13,544,639件です。このうち99.1%にあたる13,419,944件が間違い電話などでした。内訳は船舶海難関係35,477件(0.3%)、人身海難関係26,302件(0.2%)、海難関係以外62,916件(0.5%)です。

令和6年(2024年)に118番に寄せられたおよそ40万件の通報のうち、約99%が間違い電話、無言電話、いわゆる『ワン切り』、いたずら電話といったものでした — 政府広報オンライン

裏を返せば、正しく使われる通報は1%程度しかありません。「かけたら迷惑かもしれない」と遠慮せず、事故を見たときは迷わず118番にかけてください。

耳や声が不自由でも、映像でも通報できます

海上保安庁は2025年1月18日から、通報の情報伝達手段を強化する「Live118」の運用を始めました。音声だけでなく映像を送れる仕組みで、現場の状況をより正確に伝えられます。聴覚や発話に障がいがある方には、スマートフォンの入力操作で通報できる「NET118」があります。利用には事前登録が必要です。登録方法は海上保安庁のページで、[email protected] への空メール送信と案内されています。どちらも118番の代わりではなく、118番を使いやすくする追加の手段です。

引き上げてから、あきらめずに蘇生を続けてください

この記事では応急手当の手順そのものは説明しません。手順は日本赤十字社や消防庁のページで確認してください。ここでは引き上げるまでの考え方だけお伝えします。

水中では効果的な心肺蘇生を行うことがむずかしいので、なるべく早くボートに乗せるか、水際に引き上げる — 日本赤十字社「溺れた人の手当」

消防庁の検討会資料は、液体除去に時間をかけず早期に人工呼吸を始める重要性を挙げています。日本赤十字社は、長時間水没後の蘇生例を挙げ、救命の努力をあきらめないよう呼びかけています。

助けに入る前に、自分の安全を確保してください

溺れている人を見つけると、反射的に泳いで近づきたくなります。ですが救助者自身が溺れると、助けが必要な人が二人に増えてしまいます。浮くものを投げる、大声で助けを求める、通報するといった行動を優先してください。無理に単独で泳いで近づかないでください。

救助の手順は意識を失った人の救助手順にまとめています。潜る前の共通の注意は安全の原則を確認してください。

この記事で確認できなかったこと

  • 119番にかけた場合に、消防が118番へ連絡する運用の明文。
  • JRC蘇生ガイドライン2020における、溺水に関する推奨文の本文。
  • NET118の登録者数・利用実績の統計。

次の一歩

  1. スマートフォンの連絡先に118番を登録しておいてください。 迷ったときに番号を思い出す手間が省けます。
  2. 溺れている人を見つけたら、まず自分の位置と周囲の状況を確認してください。 GPS機能をオンにしておくと、通報時に正確な位置が伝わります。
  3. 応急手当の手順は、日本赤十字社や消防庁のページで事前に確認しておいてください。 引き上げた後にあわてないためです。

海難事故がどれくらい起きているかは海保の海難統計にまとめています。海水浴場の外で泳ぐときの注意は遊泳区域の外で泳ぐときを確認してください。

海水浴場以外で溺れてしまったときは、緊急通報用電話番号の118番(海上保安庁)、110番(警察)、119番(消防)に救助を求めましょう — こども家庭庁「子どもの水の事故を防ぐために」

本記事は2026年8月23日時点で公開されている行政資料に基づく情報提供であり、応急手当や法律の助言ではありません。個別の事案については、海上保安庁・消防・医療機関にご相談ください。