「ヘッドライトを持って夜の岩場に入ろうとしたら、『それ違法じゃない?』と友人に止められました」
この記事は、水中ライトを持って素潜り・シュノーケリングをしていいか気になる方に向けて書いています。
答えから言います。ライトを持つこと自体を禁じる規則はありません。 規則が禁じているのは、灯りで魚介類を集めて採る「集魚灯」としての使い方です。
持ち帰りは3つです。
- 禁止の対象は「照らす」ではなく「集める」です。 水産庁の一覧で●が付くのは、灯りで魚を集める漁法としての使用です
- 千葉・神奈川は、集める目的か足元を照らす目的かで公式に線を引いています。 足元用のライトは対象外です
- 静岡は承認制、福岡は出力の上限です。 同じ「灯り」でも、県によって規制の形が違います
禁止されているのは灯りではなく、集める漁法です
水産庁が公表している都道府県別の遊漁ルール一覧(令和8年3月31日現在)には、漁法ごとに「集魚灯、火光、照明器具の使用禁止」を示す●が付いています。●が付く県は、竿釣・手釣で9県、たも網で15県、徒手採捕(手づかみでの採捕)で9県です。
漁法ごとに、灯り禁止の県はいくつあるか
| 漁法・器具 | ●(集魚灯・火光・照明器具の使用禁止)の県数 | 該当する県 |
|---|---|---|
| 手釣・竿釣 | 9県 | 茨城(海面)・千葉・東京・神奈川・岡山・広島・香川・熊本・沖縄 |
| たも網 | 15県 | 茨城(海面)・千葉・東京・神奈川・静岡・愛知・兵庫・広島・徳島・香川・愛媛・高知・福岡・長崎・熊本 |
| 徒手採捕 | 9県 | 茨城(海面)・千葉・東京・神奈川・福井・広島・香川・佐賀・熊本 |
この表の徒手採捕は、素潜りで貝や生き物を手づかみで採る行為に近い区分です。9県で、灯りを使って集める行為が禁止されています。ライトを持つこと自体ではなく、集める目的での使用が対象です。
岡山・佐賀は、素潜りそのものが対象外です
水産庁の一覧の注記には、岡山・佐賀の徒手採捕についてこうあります。
「歩行徒手採捕のみ可能(素潜りなどでの採捕は禁止)。」 — 水産庁「都道府県漁業調整規則で定められている遊漁で使用できる漁具・漁法」注30
灯りの規則を確認する前に、この2県は徒手採捕そのものが歩いての採取に限られています。素潜りで採る行為自体が対象外です。
「集める」と「照らす」の境目はどこですか
千葉県は遊漁のQ&Aで、集魚灯の定義をこう説明しています。
「集魚灯とは、水産動物を効率的に採捕するため、光で集めるものであり、千葉県漁業調整規則により遊漁者は集魚灯を使用して水産動物を採捕することはできません。なお、足元や海面を見やすくするためのライトは使用できます。」 — 千葉県水産局「遊漁のルールに関するよくある問合せについて(Q&A)」
神奈川県も、同じ線引きを公式ページに載せています。
「集魚灯は、魚等を集める目的で使用するもので、作業のために手元や安全のために足元を照らすものは含まれません。」 — 神奈川県「磯遊びのルール」
この2県に共通するのは、「何のために光を使うか」で判断している点です。同じライトでも、魚を集めて採る目的なら集魚灯、足元の安全確認が目的なら対象外という扱いです。
静岡は承認制、福岡は出力の上限です
一方で、静岡県と福岡県は目的ではなく手続きや出力で線を引いています。静岡県は、火光(照明などのあかり)を使ってたも網・さで網・やすを使う場合、静岡海区漁業調整委員会の承認が必要だと説明しています。福岡県は、堤防での竿釣りに使う集魚灯(うき灯を含む)について、10KW以下の電気設備なら使用できるとしています。同じ「火光」でも、県によって承認制と出力制限という別の仕組みで規制しています。
器材の防水表記は、ライトごとに違います
ダイビング用ライトの代表例として、TUSAのTL0001・TL0002を見ると、スペック表は「耐圧水深:100m」という表記です。輝度は高輝度LED450ルーメン、明るさは100%と30%の2段階で切り替えられ、電源は単4電池3本です。
「耐圧水深」と「IPX」は別の表記です
スマートフォンや家電でよく見る「IPX8」のような防水等級の表記ではなく、水深そのもので示されています。器材を選ぶときは、この表記の違いを確認してください。
海上保安庁の「スノーケリングガイド基準」や「自己救命策確保の3つの基本」も確認しましたが、夜間や日没後の遊泳そのものを禁じる明文の記載は見当たりませんでした。ライトの規則とは別に、夜の素潜りにどんなルールがあるかは夜の素潜りは違法?にまとめています。
この記事で確認できなかったこと
- 三重・和歌山・兵庫・沖縄・北海道の、集魚灯の定義を説明したQ&A
- 海上保安庁・日本ライフセービング協会による、夜間遊泳を禁じる明文の指針
- INON・GULLなど、他メーカーのダイビングライトの防水表記
次の一歩
- 潜る県の名前で「◯◯県 集魚灯」を検索し、対象かどうか確認してください。 上の表は水産庁の一覧が正本で、県の規則が最新です
- 灯りを使う目的を、自分の中で言葉にしておいてください。 足元を照らすためか、生き物を集めるためかで扱いが変わります
- 判断がつかなければ、県の水産担当課に確認してください。 静岡のように承認が必要な県もあります
道具の話は素潜りでたも網は使える?と素潜りで魚突きは違法?にまとめています。潜る前の共通の注意は安全の原則を確認してください。
本記事は2026年8月23日時点で公開されている法令・規則・行政資料に基づく情報提供であり、法律の助言ではありません。個別の事案については、都道府県の水産担当課、漁業協同組合、または弁護士にご相談ください。
