「潜っている途中でマスクに水が入り、あわてて鼻から息を吹き込んだら、余計に苦しくなりました」

この記事は、スキンダイビングやシュノーケリング中にマスクへ水が入って困った方に向けて書いています。

答えから言います。水面にいるときは、マスクを顔から持ち上げるだけで排水できます。 鼻から空気を送り込んで排水する「マスククリア」は、スクーバダイビングの基本スキルです。スキンダイビングで水中クリアが必須という団体公式の記述は、今回確認できませんでした。水中で水が入っても無理にクリアを続けず、浮上してから外すほうが安全です。

持ち帰りは3つです。

  1. 水面では、持ち上げるだけで足ります。 TUSA公式マニュアルがそう明記しています。
  2. 水が入る主因は、髪の挟み込みです。 装着前に髪をスカート(顔に触れるゴム部分)の外に出してください。
  3. 顔に吸い付いて痛いときは、鼻から空気を送ってください。 ストラップは痛いほど締めないでください。

水が入る一番の原因は、髪の挟み込みです

TUSA公式マニュアルは、マスク内に水が侵入する主な原因を「毛髪をマスクのスカートにはさみこんでしまうことによるもの」と説明しています。この記述はスクーバダイビングを想定したものです。マニュアル自体は「スキンダイビングやスノーケリングに製品を使用される場合でも、該当する項目は必ずお読みください」と、適用範囲を広げています。

装着前に、髪を外へ出すだけです

前髪や後れ毛がスカートに入り込んだ状態で装着すると、そこから水が入り続けます。マスクを顔に当てる前に、髪をスカートの外側に出してください。曇り止めの手順はマスクの曇り止めにまとめています。

場面ごとに、やることは違います

水面と水中、スクーバとスキンダイビングでは、水が入ったときにやることが変わります。TUSA・DAN・PADIの公式資料から、場面ごとの対処を整理しました。

場面 やること 根拠
水面で水が入った マスクを顔から持ち上げて排水する TUSA公式マニュアル
水中で水が入った(スクーバ) 鼻から空気を送って排水する(マスククリア) TUSA公式・PADI公式
水中で水が入った(スキンダイビング) 無理にクリアせず、浮上してから顔から外す 団体公式の水中クリア必須記述は確認できず(本記事の判断)
マスクが顔に吸い付いて痛い(スクイーズ) 鼻から空気を送る・ストラップを締めすぎない TUSA公式・DAN公式
スノーケルに水が入った 浮上して短く息を吹き出す TUSA公式
排水弁付きスノーケルを使っている 浮上したら必ず息を吐いてから吸う TUSA公式
マスクに水が入る場面ごとの対処を6パターンに分類した表。水面は持ち上げるだけ、水中のスキンダイビングはクリアより浮上を優先、スクイーズは鼻から空気を送るなど、場面ごとに対処が異なる。
図: TUSA公式マニュアル・DAN公式・PADI公式資料からBLUE BREATHが分類(2026年8月23日時点)。

表の「確認できず」は、規則が無いのではなく、今回調べた範囲の公式資料に見つけられなかったという意味です。判断に迷ったら、無理にクリアを試みず浮上してください。

水中で粘らないでください

水中でマスク内の水が抜けきらなくても、その場で長くクリアを試み続けないでください。視界が悪いまま焦って空気を使うより、浮上して顔から外すほうが速く安全です。

マスクが吸い付いて痛いのは、スクイーズです

水面から潜っていくと水圧が上がり、マスク内の空気が押し縮められます。これがスクイーズです。スクイーズとは、マスク内外の圧力差によって顔や眼に負担がかかることです。DAN(潜水医学の専門機関)は、鼻から空気を送って圧を均等にできないと、マスク内の空気圧と顔の血管の圧力に差が生まれると説明しています。放置すると、白目に内出血(結膜下出血)が起きることがあります。

TUSA公式マニュアルは、痛みを感じたらすぐにマスクブロー(鼻から空気を送ってマスク内の圧を上げる動作)をするよう案内しています。

ストラップは、締めすぎないでください

TUSA公式マニュアルは「潜る前に痛みを感じるほどストラップを強く締めておく必要はありません」と説明しています。水中では水圧がマスクを顔に押し付けるので、陸で強く締める必要はありません。

スノーケルに水が入ったら、浮上して吹き出します

TUSA公式マニュアルは「浮上した際に、短く息を『フッ』とスノーケル内に吹き出すことによって、残った水を吹き飛ばす方法です」と説明しています。この方法はブラスト法と呼ばれます。PADI公式の動画にも同じ名前のスキルがあります。

排水弁付きでも、先に吐いてください

排水弁(水を自動で押し出す弁)が付いたスノーケルでも、浮上直後にそのまま息を吸うのは避けてください。TUSA公式マニュアルは「浮上した際には、必ず息を吐いてから呼吸をしてください」としています。パイプ内に水が残ったまま吸うと、気管に水が入る可能性があります。目の痛みが続く場合は素潜りで目が痛くなる原因もあわせて確認してください。

この記事で確認できなかったこと

  • 「フリーダイビングでは水中でマスククリアをしない」という団体公式の明示記述。
  • PADIのフリーダイバー向けコースのスキル一覧にマスククリアが含まれるか。
  • 笑う・ヒゲを水侵入の原因とする公式記述。

次の一歩

  1. 潜る前に、髪をスカートの外に出してください。 一番多い水侵入の原因を、装着前の一手間で防げます。
  2. 水面で水が入ったら、まず持ち上げて排水してください。 水中で無理に粘る必要はありません。
  3. 顔に吸い付く痛みを感じたら、鼻から空気を送ってください。 痛みを我慢して潜り続けないでください。

道具の基本はフリーダイビングの装備ガイド、潜る前の共通の注意は安全の原則にまとめています。

水面上ではマスクに水が入っても、マスクを顔から持ち上げるだけで、容易に排出できます。しかし水中では、鼻からマスク内に空気を送り込むことによってマスク内に入った水を排出する“マスククリア”が必要です。 — TUSA(タバタ)公式取扱説明書 第13版

本記事は2026年8月23日時点で公開されている取扱説明書・公式資料に基づく情報提供であり、医療・安全の助言ではありません。体調や痛みが続く場合は、無理をせず医療機関や販売店にご相談ください。