「東京都内で、冬でもシュノーケリングができる海はありますか」
そう探すと、羽田から55分の八丈島に行き当たります。八丈ブルーと呼ばれる透明度、アオウミガメ、黒潮。そこまではどの旅行サイトにも書いてあります。
この記事は、ツアーではなく自分で浜に立とうと考えている方に向けて書きました。答えから言います。水温は10か月20℃を超えるのに、海況を毎朝知らせてくれる旗は年に2か月半しか揚がりません。 しかも旗を出しているのは町ではなく観光協会で、町の海水浴場条例は見つかりませんでした。
持ち帰りは3つです。
- 水温が20℃を超えるのは4月から1月の10か月。本州の陸続きのどこより長い
- 毎朝の旗があるのは7月中旬〜9月下旬の5か所だけ。それ以外の7か月半は、海況を自分で読む
- 底土はブイの外洋には出ない。観光協会自身が「安全にスノーケリングができる場所が限られている」と書いている
海況を教えてくれるのは2か月半です
八丈島観光協会は、底土海水浴場を「海水浴、飛び込み、ダイビング、スノーケリングと楽しめる、島一番の人気ビーチ」と書いています。そして同じページに、旗の仕組みがあります。
夏季期間中(7月中旬〜9月下旬)は、島内5箇所の海水浴場について“旗の色”による海水浴情報を毎朝発信しています。青旗=遊泳可能 黄旗=遊泳注意 赤旗=遊泳禁止 — 八丈島観光協会
水温で見ると、八丈島沿岸の月平均が20℃を切るのは2月(19.4℃)と3月(19.3℃)だけです。1月でも20.2℃、12月は22.1℃あります。水温だけなら10か月入れる島で、海況を教えてくれる旗は2か月半です。 残りの7か月半は、自分で海況を読んで入ることになります。
「入れる場所が限られている」と、観光協会自身が書いています
八丈島の海は黒潮の影響で流れが速い場所も多く、港湾域などではブイによって泳げないエリアが設定されています。岩場の海岸が多く、安全にスノーケリングができる場所が限られていますので、ガイド付きツアーにお申し込みいただき安全にマリンレジャーを楽しんでいただくことをお薦めしています。 — 八丈島観光協会
「お薦めしています」であって、個人でのシュノーケリングを禁じる文言ではありません。ただ、観光地の案内ページが「安全にできる場所が限られている」とはっきり書くのは珍しいです。
3つの浜に共通する「沖に出ない」
| 浜 | 観光協会の記述 |
|---|---|
| 底土海水浴場 | 島内唯一の人工砂浜。「沖は潮が早く危険なため、目印のブイが設置されています。ブイの外洋には出ないよう」。トイレ・シャワー・更衣室・駐車場。底土港から徒歩約1分 |
| ヤケンヶ浜 | 「沖には出ないように注意し、また沖からは波が入ってきますので、油断せぬよう」 |
| 乙千代ヶ浜 | 「沖には出ないように十分ご注意ください」。海水プールは7月中旬〜8月末 |
3つの浜に共通しているのは「沖に出ない」です。底土にはウミガメがいて「スノーケリングでも気軽に出会える」とありますが、「むやみに岩場に立ったりサンゴを踏みつけないように」ともあります。
町の条例は見つかりませんでした
黄金崎の西伊豆町には海水浴場条例があり、開設期間の枠、遊泳区域の設定義務、禁止行為が条文で決まっていました。同じことを八丈町で探しましたが、例規集に海水浴場を対象にした条例・規則を見つけられませんでした。「7月中旬〜9月下旬」は、民間団体である観光協会の案内期間です。浜は「海水浴場」と呼ばれていますが、誰が開設者なのかを町の文書で確かめられませんでした。
これがなぜ大事かは、海上保安庁のウォーターセーフティガイド(海のレジャーの安全の手引き)が書いています。開設されている海水浴場には開設者が存在してその開設者が安全管理を行う、一方で開設されていない海水浴場では開設者が存在しないため適切な安全管理が行われていない可能性がある、という記述です。八丈島の浜がどちらなのか、この記事では断定できません。町に電話して確かめるところから始まります。
東京都の規則では、やすが使えます
東京都漁業調整規則の第40条は、遊漁者が使える漁具に「やす及びは具」を挙げていて、静岡県の「水中眼鏡を利用する場合を除く」にあたる括弧がありません。ただし伊豆大島では、都の規則で使える道具を島のダイビング連絡協議会のルールが「素潜りであったとしても」禁じていました。八丈島のダイビング事業者協会にも同じ条文があるかは、公式サイトに接続できず確認できていません(2026年8月22日時点)。浜の掲示が最後に効きます。県ごとの一覧は39県の一覧にあります。
東京から
観光協会は「羽田から55分 東京からいちばん近い南国」と掲げています。東海汽船の大型客船(夜行)は竹芝から最短10時間20分で、運航の最終決定は当日17時ごろです。
この記事で確認できなかったこと
- 八丈町の海水浴場条例と、町による開設期間・監視員の告知
- ダイビング事業者協会のポイントごとのルール(やす・スノーケリング・セルフ)
- 八丈島単位の事故の公的統計
次の一歩
八丈島に行くつもりなら、順番はこうなります。
- 旗の期間(7月中旬〜9月下旬)に行くか、その外側に行くかを先に決めてください。 外側なら、毎朝の海況案内はありません
- 底土のブイの外には出ないでください。 観光協会が「沖は潮が早く危険」と書いている浜です。ウミガメはブイの内側にもいます
- 見ていてくれる人を水面に置いてください。 観光協会自身が「安全にスノーケリングができる場所が限られている」と書く島です。海で守るのはこの3つだけです
練習する場所は、下の「近くの練習会を探す」から都道府県で引けます。冬の伊豆諸島の比べ方は冬に素潜りできる場所にあります。
本記事は八丈島観光協会・東京都・海上保安庁・東海汽船の2026年8月22日時点の記述と、気象庁のデータに基づく情報提供です。現地のルールは年によって変わります。行く前に必ず観光協会か町へ直接ご確認ください。
