「三宅島の長太郎池って、子どもでも入れる場所ですか」

この記事は、三宅島で家族と海に入ろうとしている方と、手銛を持っていこうとしている方に向けて書きました。

答えから言います。観光協会は、泳ぎに自信のない人に長太郎池を勧めています。夏はライフセーバーが常駐するとも書いています。ただし同じ水面は、村と漁協と観光協会の連名で出た地図では資源保護区で、手銛は使えません。 泳ぐ線と突く線が、同じ場所で違う向きに引かれています。

使ったのは、三宅村・三宅島観光協会・三宅地区海面利用協議会の公式資料と、船と飛行機の会社の公式ページだけです。

同じ水面に、2つの線が引いてある

観光協会の長太郎池のページは、こう書いています。

噴火活動が作り上げた自然のプール。干潮時は外からの波が入って来ないので、安心してフィッシュウォッチングを楽しめる。 — 三宅島観光協会「長太郎池」

「観察できる魚種も豊富なので子供だけでなく大人にも人気のポイント。夏場はライフセーバーが常駐する」とも続きます。よくある質問では、泳ぎに自信のない人向けとして長太郎池と大船戸海水浴場が挙がっています。

一方、令和3年4月1日に三宅地区海面利用協議会・三宅島漁業協同組合・三宅島観光協会の連名で出た「三宅島手銛遊漁ルール5箇条」の地図では、長太郎池は「間鼻沖資源保護区」の中にあります。手銛の禁止区域です。

三宅島で手銛が使える区域と使えない区域を並べた図。長太郎池を含む間鼻沖資源保護区や各漁港まわりが禁止、富賀浜の一部などが注意区域、それ以外の沿岸が可能区域。
図: 三宅地区海面利用協議会・三宅島漁業協同組合・三宅島観光協会「三宅島手銛遊漁ルール5箇条」(令和3年4月1日)から BLUE BREATH が作図。

矛盾ではなく、行為が違うだけ

矛盾ではありません。泳いで見るのと、突いて獲るのは別の行為だからです。ただ、同じ地名が「家族向けの人気スポット」と「資源保護区」の両方で出てくることは、行く前に知っておく価値があります。

ルール5箇条には、ほかにこう書かれています。

  • 水中銃は東京都全域で禁止(東京都漁業調整規則)
  • 遊漁中は黄色かオレンジのフロート(浮き)を必ず携帯する
  • 日没後の手銛遊漁は禁止
  • イセエビ・トコブシ・サザエ・天草などは漁業権の魚種で採れない

浜は7か所、うち5か所に印がある

観光協会が挙げる海の入口は7つです。大久保浜(全長約2km・トイレとシャワーと更衣室あり)、大船戸(島内唯一の砂のビーチ)、錆ヶ浜(全長800m)、三池浜(全長約1.5km)、長太郎池、釜の尻海岸、富賀浜。

このうち、はじめの5つには名前のうしろに「※」が付いています。釜の尻と富賀浜には付いていません。ただし、その印が何を意味するかは、同じページに書かれていません。

富賀浜については、手銛の地図のほうに説明があります。「間鼻資源保護区に隣接し、特に注意が必要な箇所」。観光協会のページでは「シュノーケリングスポット」の一言です。

水温は9か月、船は夜行だけ

気象庁の10年平均で、三宅島沿岸の水温が20℃を超えるのは4月から12月までの9か月です。伊豆半島の東側(6か月)より3か月長く、伊豆大島の8か月よりも長い海になります。

一方で船は不便です。ジェット船の航路がなく、旅客は夜行の大型客船「橘丸」だけ。東京22:30発、翌朝5:00着です。

行き方 料金 補足
大型客船 2等(東京) 12,380円 夜行・翌朝5:00着
新中央航空(調布) 20,100円 飛行機
ヘリ(御蔵島から) 5,870円 1日1往復
ヘリ(大島から) 11,880円 1日1往復

着く港は当日決まります。観光協会は「港の決定は早朝3:30の為、前日には分かりません」と書いています。帰りの船の港は当日11時に決まります。宿から港までの足を、前日に固定できない島です。

火山ガスのある島だということ

三宅島は2000年の噴火のあと、火山ガスとつきあってきた島です。村の条例には立入禁止区域があり、施行規則には「村民等は、外出の際はガスマスクの装着に備え、ガスマスクを常時携帯しなければならない」という定めがあります。同じ規則は「規制区域外においては火山ガス状況に新たな変化が無い限り、外出の際にガスマスクを携帯する必要はない」とも書いています。

村は来島者に、防災マップで立入規制区域を確認するよう求めています。人口は2,091人(令和8年7月31日現在)、面積は55.26平方キロメートル、雄山の標高は775.1メートルです。

この記事で確認できなかったこと

  • 2026年の海水浴場の監視員の配置期間(村・観光協会の告知を見つけられませんでした)
  • 観光協会のページにある「※」の意味
  • 大久保浜の周辺で報じられている道路の被害と、施設の運用状況

次の一歩

  • 長太郎池に入るなら、干潮の時間を先に調べてください。 観光協会は満潮時に外から波が入ることを注意しています
  • 手銛を持っていくなら、地図を先に見てください。 禁止区域と注意区域が地名で決まっています
  • 帰りの足は、港が当日決まる前提で組んでください。 海に入る前の3つも先に読んでおいてください

本記事は三宅村・三宅島観光協会・三宅地区海面利用協議会・三宅島漁業協同組合・東海汽船・新中央航空・東邦航空の2026年8月22日時点の公開情報に基づく情報提供です。期間・料金・ルールは変わります。行く前に必ず各公式サイトでご確認ください。